阪中隆文
1989年東京生まれ。写真・映像・インスタレーションを制作する。暗渠、ビルの天井裏、床下、古墳、空き地など都市や建築の周縁的領域に着目し、遊びのような行為によってアプローチする。1964年の東京オリンピック政策によって埋 […]
2021.01.06 [水] - 2021.01.17 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)
<会期中イベント>
イベントは全てオンラインで行います。以下から登録をお願いします。
https://www.youtube.com/channel/UC0j0haeaBVhEJxybms3YUrw?view_as=subscriber
Art Center OngoingのnoteおよびPyaPayによる投げ銭制です。
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1月9日(土)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ 2021/01/09」
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーを、インターネットで配信します。
https://youtu.be/m33miRvEM8I
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1/10 (日)16:00-17:30
「オンゴーイング・スタジオ 2021/01/10」
見えない痒みをかきむしる ー彫刻/映像間におけるアトピックな対話
https://youtu.be/Cl2Anjs7oYA
ゲスト :奥脇嵩大(おくわき・たかひろ) 青森県立美術館学芸員
1986年さいたま市生まれ。京都芸術センター・アートコーディネーター等を経て、2014年から現職。生きることを介して芸術や美術館の可能性を広げることに関心をもつ。これまでの主な企画に「ここから 何処かへ 國府理」(2012、京都芸術センター)、「青森EARTH2016:根と路」(青森県立美術館)、「立ち上がる風景 new documentary for atopic site」(2016-17、青森県立美術館)、「青森EARTH2019:いのち耕す場所 -農業がひらくアートの未来」(青森県立美術館)等。
ボリボリ、ガリガリ、ゴリゴリ、ポリポリ。展示会場に一歩踏み入れると、どこか聞き覚えのある音が響き渡っている。それが皮膚をかきむしる音だと気づくのにさほど時間はかからない。普段あまり意識することのない音だけど、改めて突きつけられると、思いの外、馴染みがあることに驚きを覚える。アトピーの知り合いは少なからずいるし、僕自身もお風呂上がりなんかに無意識でずっとスネを掻いていることもあるからだろうか。しかし展示のテーマが「痒み」だなんて、阪中くんは、やっぱりいいね。 阪中くんを知ったのは、青梅にあったモデルルームというアートスペースで、展示会場の一室の床に穴を開けて、そこから外の庭まで地面を自身で掘り進み、ピンホールカメラの原理で、外の風景をギャラリー内に映し出すという、パフォーマンスというかインスタレーションというか、「あー、こいつバカだわ」と、とにかく一瞬で好きになる作品を発表していたのが最初。 それですぐに本人に声をかけ、三鷹の街中で開催したグループ展に誘ってみたところ、そこで発表してくれたのが、デパートの屋上で100円を入れると数分だけ動くパンダを10倍ぐらいの大きさにした「Giant panda car」という作品。観客は梯子を使って作品の上に乗り込み、100円を投入するとそのでかいパンダが動きだすというもの。動力は何かといえば、人知れず阪中くんが作品の中に入っていて人力で動かしていただけという、タイトルも素晴らしかったけど、全てがバカで最高だった。 阪中くんは普段、カメラマンの仕事もしていて腕前も確かだったので、パンダ以降、僕の企画した展示の記録撮影をお願いすることもあった。地方での展示の時などは、彼と現地の会場まで車で一緒に向かうことが度々あって、深夜の長距離ドライブでは、美術のこと、社会や政治のこと、そして個人的な話までいろいろな話題に花が咲いた。そして話をすればするほど、阪中くんが単なるおもしろ好きなアーティストではないことを思い知らされるのだった。彼は、僕よりもひと回り歳下だけど、様々な物事を知っていて、ありきたりで無い自身の考えを持ち、なるほどと彼の意見に感心させられることも多々あった。当たり前だけど、全身全霊でバカなことをやってのけるやつは、頭もセンスもいいに決まっているのだ。 そんな阪中くんの今回が以外にもOngoingでの初個展。展示タイトルは「Atopic Search for Atopia」である。Atopiaとはギリシャ語で、打ち消しの意味で使われる「a」と、場所や楽園を意味する「topia」によって構成された言葉だという。本人自身もアトピーであるという阪中くんが、「痒み」を可視化することで”非場所”を浮かび上がらせている。展示会場の最後には、もう一つのAtopia=”非楽園”の記録もあったりして、あー、やっぱり彼は最高にバカで最高に素晴らしいと、ムズムズした軽い痒みのような感覚が頭のどこかに呼びさまされるのだった。 小川希(Art Center Ongoing)
1989年東京生まれ。写真・映像・インスタレーションを制作する。暗渠、ビルの天井裏、床下、古墳、空き地など都市や建築の周縁的領域に着目し、遊びのような行為によってアプローチする。1964年の東京オリンピック政策によって埋 […]