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公開撮影「新しい愛の体験」
Ongoing JACK!!

ホスト:地主麻衣子

2016.03.09 [水] - 2016.03.13 [日]
各日オープン18:00 スタート19:00

思えば、思春期のころ、愛について知りたくて小説を読み始めた。
小説を読んでも肝心のところがよく分からなかった。今思い出すと面白いが、私が手に取ったのはゲーテの「若きウェルテルの悩み」だった。途中まで読み進めて、読むのをやめた。当時の私にはここには求める答えがないような気がしたのだろう。今でも表紙のデザインを覚えているけれど、最後まで読んだことはない。私は私が知りたい愛について教えてくれそうな小説を探しては読んだ。そして今もそれを続けている。
時々インターネットで愛について検索する。こんなことは馬鹿らしいと思いつつ、掲示板に投稿された相談とそれに対する答えを読み漁る。何時間もそれに費やしたあと、納得したような納得できないようなもやもやした気持ちを抱えたまま、止むに止まれぬ事情により読むのをやめる。(例えば、朝が来てもう寝なくてはいけない。もしくは、昼過ぎになりそろそろ本当に起きなくてはまずい。など)こんなことをしても時間の無駄なことは分かりきっていて、自己嫌悪になるけれど、これを数ヶ月に1度はやってしまう。
愛とは何なのか?
私はなぜ他人が定義する愛を知りたがるのか?
私はカメラを通して人と話すとき、一番深くコミュニケーションできるような気がしている。愛について面と向かって誰かと話すなら、たぶんカメラ越しにしかできないだろう。
そうしないと緊張してとてもそんなこと話せない。
今回の公開撮影では、カメラを通して、愛についてあなたと話してみたい。

これは、カメラ(第2の目)を使った「新しい愛の体験」を模索する試みです。期間中、作家(地主)は体験希望者とともにギャラリー内で撮影を行います。「新しい愛の体験」は観客に公開されます。このような文言でインターネットとチラシで事前に被写体として体験したい人と撮影スタッフを募集し、5日間公開撮影/パフォーマンスをおこなった。地主がカメラで撮影しながら、体験者と愛について話し、他の撮影スタッフも至近距離で撮影する、体験者の立っているステージに花を置くなどの非言語的な行為で介入していくというもの。他者同士がその場限りで集まった撮影の場が愛に似た何かしらのムードに包まれるかどうか、それを知覚し、映像に収めることができるかどうかの実験である。観客は自由に出入りし、撮影の様子を見ることができる。体験者として8人(佐々木哲造、滝澤幸子、市川明子、本間順子、矢木奏、関根麻郎、原万希子、萬兵衛政國)が参加し、撮影スタッフとして6人(斎藤玲児、久保寺晃一、二木詩織、小島真子、阿部葉子、佐藤駿)が参加した。
(ホスト:地主麻衣子) 

地主麻衣子

1984年神奈川県生まれのアーティスト。多摩美術大学大学院絵画専攻修了。ヤン・ファン・エイク・アカデミーのレジデンスプログラムなどに参加。映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどを総合的に組み合わせて作品を […]