小鷹拓郎
アーティスト、映画監督。1984年埼玉県生まれ。 社会の分断を抱える地域でフィールドワークを行い、ドキュメンタリーとフィクションを行き来するアートフィルムを制作。文化的背景や民俗学的視点を取り入れながら、モキュメンタリー […]
2025.11.19[水]_ 2025.12.7[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度、Art Center Ongoingでは、小鷹拓郎個展「漂流する共界線」を開催いたします。
小鷹は、1984年生まれのアーティスト・映画監督。これまでドキュメンタリーとフィクションを織り交ぜたアートフィルムを制作してきました。国内外問わず様々な地域の地元住民との交流を重ねながらリサーチを行い、その人々を実際に映像に登場させる作風で知られます。
小鷹にとって6年ぶり6度目となるOngoingでの個展となる本展では、ドキュメンタリー《放射線のプラネタリウムができるまで》とモキュメンタリー《テレパシーが使えない男》の二つを用いたインスタレーションが展開されます。両作品ともに2023年に制作され、東京での公開は初めてとなります。小鷹にとってフィクションとドキュメンタリーを織り交ぜる展示は初の試みです。
《放射線のプラネタリウムができるまで》は、福島の帰宅困難区域で周囲に住む科学者や地域住民と共同し制作されたドキュメンタリーです。100年前に発明された、放射能を可視化する科学装置「霧箱」を用い、福島の土壌や鉱石から発せられる放射線を可視化しようと試みる過程を追っていきます。復興は進むものも、そこには放射能という目に見えない恐怖が依然と存在する福島で、科学の理性や人間の感情、その間に浮かぶ境界の揺らぎを描き出します。
一方、《テレパシーが使えない男》は、自衛隊駐屯地を抱える三重県の町で制作されたモキュメンタリー(ドキュメンタリー風のフィクション作品)です。舞台は住人誰しもがテレパシーを使える町。戦時中に旧日本軍が開発したとされるその技術が、現代では観光資源にもなっている環境で、たった1人超能力を全く使えない男の孤独と奮闘を追っています。小鷹は、マジョリティの中のマイノリティの姿や、コミュニティの中の同調圧力、生きづらさを本作のテーマに沿えています。
展覧会タイトルの「共界線」は境界線を一文字変えた、小鷹による造語です。ここで言う境界線とは、自己と他者を区別するものや、どこまでを受け入れる/入れないのかといったもので、誰しもが持つ、そして流動的なものだと小鷹は話します。福島や三重での滞在で、各地域の抱える困難が分断を煽り境界線を強めているように感じた小鷹。その中で両作品に共通する「目に見えない力」―放射能やテレパシー−を媒介に、分断を煽るのではなく「共に生きられる世界の形」を探ろうと試みています。人々がいかにして目に見えない存在と関わり、世界と共鳴していくのか、そのゆくえを辿るために「共界線」という言葉が生まれたのです。
小鷹の作品は現実を強く映し出す一方で、ユーモアあふれる虚構が織り込まれています。真摯な眼差しを地域に向ける一方で、その中に現実を超えた可笑しみを映し出していくのです。ドキュメンタリーとモキュメンタリーが混ざり合う形となる本展。昨今の世界的な分断の煽りを受ける社会の中で、小鷹のまなざしは今我々が現実社会を再考するための手がかりとなるのではないでしょうか。独自の手法で社会に応答する小鷹の作品を、どうぞじっくりとご覧ください。
(Art Center Ongoing 貞方梨七)
11月21日(金)19:00-
オープニングパーティー
参加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)
11月23日(日)15:00-
トークショー
「見えないコトについて」
ゲスト:川田淳(映画監督)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

11月29日(土)18:00-
トークショー
「未知のモノについて」
ゲスト:佐塚真啓(美術家 / 国立奥多摩美術館館長)、永畑智大(まんが家、彫刻家)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

11月30日(日)15:00-
トークショー
「福島・美術・漂流」
ゲスト:岡村 幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員・専務理事)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

岡村 幸宣(おかむらゆきのり)
原爆の図丸木美術館学芸員・専務理事。1974年東京都生まれ。2001年より丸木美術館の学芸員として勤務。丸木位里、丸木俊を中心に社会と芸術表現の関わりについての研究、展覧会企画などを行っている。著書に『非核芸術案内―核はどう描かれてきたか』(岩波ブックレット、2013年)、『《原爆の図》全国巡回―占領下、100万人が観た!』(新宿書房、2015年)、『《原爆の図》のある美術館―丸木位里、丸木俊の世界を伝える』(岩波ブックレット、2017年)、『未来へ―原爆の図丸木美術館学芸員日誌2011-2016』(新宿書房、2020年)、『丸木俊-「原爆の図」を描き世界に伝える』(あかね書房、2023年)。主な共著に『「はだしのゲン」を読む』(河出書房新社、2014年)、『3.11を心に刻んで 2014』(岩波ブックレット、2014年)、『山本作兵衛と炭鉱の記録』(平凡社、2014年)、『〈原爆〉を読む文化事典』(青弓社、2017年)、『原爆の図-丸木位里と丸木俊の芸術』(原爆の図丸木美術館、2019年)、『美術館を語る』(風人社、2021年)。『『ピカドン』とその時代』(琥珀書房、2023年)。2016年『《原爆の図》全国巡回』にて第22回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞。2025年第68回埼玉文化賞受賞。
12月6日(土)18:00-
トークショー
「革命・謝罪・爆笑」
ゲスト:江上賢一郎(リサーチャー・東京藝術大学特任助教)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

江上賢一郎(リサーチャー・東京藝術大学特任助教)
福岡県生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校 文化人類学修士課程修了。2010年代におけるアジアのアート・アクティビズム、自主管理空間を中心にリサーチを行っている。福岡市内のアートスペース「art space tetra」運営メンバー。現在、東京藝術大学特任助教。
12月7日(日)12:30-
トークショー
「公共・反転・全滅」
ゲスト:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター、山中suplex共同プログラムディレクター)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
東南アジアのアート·コレクティブ、カルチュラル・アクテイビズムなどをリサーチ。森美術館で経験を積み、2023 年独立。山中suplexの共同プログラムディレクターに加え、アートセンターBUG 、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO で外部キュレーターを務める。2017年から、歓待の場としてインディーズ居酒屋「池田BAR」を国内外で展開。
12月7日(日)15:00-
オンゴーイングスクール
参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説)

アーティスト、映画監督。1984年埼玉県生まれ。 社会の分断を抱える地域でフィールドワークを行い、ドキュメンタリーとフィクションを行き来するアートフィルムを制作。文化的背景や民俗学的視点を取り入れながら、モキュメンタリー […]