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ネブカドネツァルの夢

深井聡一郎

2019.08.14 [水] - 2019.08.25 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

撮影:Masaru Yanagiba

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8月17日(土)19:00~
オープニング・パーティー

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8月24日(土)19:00~
「無粋彫刻論 〜これまでとこれから〜」
ゲスト:冨井大裕・保井智貴(AGAIN-ST)

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8月25日(日)15:00~
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

この度Art Center Ongoingでは約8年半ぶりとなる深井聡一朗個展「ネブカドネツァルの夢」を開催いたします。
深井聡一郎(ふかいそういちろう)は、1999年武蔵野美術大学彫刻学科修士課程を修了後、個展を始め数々の展覧会に参加。現在に至るまで一貫して陶を素材とした彫刻作品を制作してきました。
近年、深井は過去の歴史と対峙する作品群を制作しています。今回テーマとなっているのは、旧約聖書ダニエルの章に登場するバビロニア王・ネブカドネツァル二世が見た夢に登場する彫刻です。
ネブカドネツァル二世の夢には、頭は金、胸と両腕は銀、腹と腿は青銅、脛は鉄、足は陶でできた人体彫刻が登場し、投げられた岩によって陶でできた足部分が砕かれると彫刻全体がバラバラに崩れ、残った岩は山となります。ダニエル少年による夢診断により、これらはのちに起こることを示唆し、金の頭はバビロニア、他の金属部分はバビロニアの後に興る国、最終的に残った岩は神の国(キリスト教)を表していると言われています。
この記述は夢の中に彫刻が登場する最古のものとされており、バビロニアという土地は深井にとって関心のある場所でもありました。深井自身が実際にその地を訪れた記憶や、文献・図版、近隣の国で略奪された当時のものを実際に見る経験を経て制作された本作は、過去の出来事と現在が彫刻という共通点によって結びつき、岩によって砕かれる陶部分は深井が一貫して彫刻作品に使用している陶とも結びつくなど、様々なつながりを私たちに想起させてくれます。
「あくまで人体彫刻ではなく、彫刻を彫刻化した」と深井が語る本作は、彫刻全てが陶でつくられ、かけられた釉薬によって金属の重厚感ある姿を表します。土を焼くことにより生み出される陶は、変幻自在に形を変え、焼かれることによって断片的な記憶を固定する装置のようにも思われます。大きな時代を感じさせつつ、その場所への思いを馳せることを示唆しているかのように深井の彫刻は私たちの前に静かに佇むのです。
Ongoingの空間の中で漂うネブカドネツァル二世の見た夢、その地へその時代へと思いを馳せる深井の作品群をぜひこの機会に多くの方々にご高覧いただければ幸いです。 
(吉瀬さくら)

深井聡一郎

1973 東京都に生まれる1997 武蔵野美術大学彫刻学科卒業1999 同大学修士課程造形研究科修了2002~2003 文化庁在外派遣研修員として英国に滞在 個展2019 「ネブカドネツァルの夢」Art Center O […]