この度Art Center Ongoingでは、大石一貴の個展『Voyager is with you』を開催いたします。
大石は今回、宇宙探査機ボイジャーを展示のメインテーマに置きました。ボイジャーは1977年にNASAが打ち上げた、現在最も地球から遠い地点で稼働する宇宙探査機です。2023年の今現在においても観測データを地球へと送り続けています。大石はまずはじめに、このボイジャーが地球から最も遠い距離にある人工物である、ということ自体に衝撃を受けたといいます。
その衝撃のもと、大石は今回の展示において、テキストと映像、立体での表現を試みることにしました。テキストでの表現は、近年のエッセイの連載を通して大石が特に力を入れて取り組んでいるものの一つで、展覧会に組み入れるのは初の試みとなります。また、会場に設置された映像は、それ自体が鑑賞可能であると共に、「映像は情報を持った光である」と本人が表現するように、光源としての機能を持ち、その光を頼りに私たちは大石の手がけたテキストを読むことになります。
毎回、異なるトピックに触れながら多様な制作を展開してきた大石。一見すると特定のテーマのもとに作品を制作する作家とはほど遠いようにも思えますが、これまでの活動を今一度俯瞰してみると、大石が自然に囲まれて育ち、その中で育んだ視点が大いに生かされているようにも思えてきます。大石が語る、ふと草の上で足元を見た時に存在するミクロな世界の広がりや、離れてみると大きく見える山の中ではその大きさを捉えられなくなる、といった距離の感覚。また自然に対して決して人間は優位な存在ではない、と日常生活の中で本人が都度感じていることなど。今回のボイジャーを取り扱うに至った衝撃や感覚も、大石が培ってきたそうした世界観が捉えた必然的な事象なのかもしれません。
会場に置かれたテキストは手にとってお読みいただけます。ぜひゆっくりと大石の生み出す視点と距離の感覚を、本展示からご堪能ください。
(Art Center Ongoing 貞方梨七)

会期中イベント

7月8日（土）18:00-
オープニングパーティー
1,000円（軽食+1Drink+入場料）

7月9日（日）15:00-
オンゴーイングスクール
1,000円（お好きなケーキ+1Drink＋入場料）
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説

7月16日（日）19:00-
トークイベント
ゲスト：見目はる香（oar press主宰）
1,000円（1Drink+入場料）