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芸術探検ポイント1 “箱!ホワイト”

野口竜平

2018.05.09 [水] - 2018.05.20 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

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5月12日(土)14:00~
ワークショップ
『間のテンパーチャー』
主催:東京文化創造都市計画

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5月12日(土)19:00~
オープニングパーティー

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5月13日(日)17:00~
トークイベント
『なぜ、版画なのか。行為と記録、その実践』
ゲスト:湯浅克俊(版画家)

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5月18日(金)19:00~
ワークショップ
『アーカイブに生を見出す術=芸術 Art as to finding lifein archives』
主催:vs? collective

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5月19日(土)19:00~
トークイベント
『編集者・キュレーター・芸術探検家』
ゲスト:影山裕樹(編集者・千十一編集室)+長谷川新(インディペンデントキュレーター)

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5月20日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
『旗あげ!芸術探検社』
野口竜平による展示作品の解説と、自転車世界3周プロジェクトの進行状況の報告会、また
「芸術探検社」設立にあたっての経営理念策定会議を行います。
お好きなケーキとお飲み物がついてきます。

野口竜平(のぐちたっぺい)は、武蔵野美術大学油絵学科版画専攻を卒業後、地方の芸術祭などを転々としながら作品の制作・発表を続けてきました。現在は東京を拠点に「東京文化創造都市計画」を立ち上げるなどして、東京に定住…するのかと思いきや、自転車で世界3周計画の真っ最中。野口竜平とは、そんな、ひとところにとどまることを知らない「芸術探検家」です。
野口は自分がやろうとしていることを実現するために、すべきこと、する必要のないことをひとつひとつ俎上に載せ、丁寧に吟味していきました。そうした中で編み出された「芸術探検家」という、未知に未知を重ねたようなわくわくする響き。それは、彼の導き出した一つの哲学ともいえます。
「身体的な経験は、『認識のわざ』である」と語る野口。「信じられるものは、自分の体で認識できることだけ。いろんなものに触れたり体験したりすることは、世界の見方を広げること」とも。例えば、タイヤを引くパフォーマンスを行う中で、タイヤを引いて歩くとその道の状態がわかることに気付いたのだといいます。凸凹している、雨が降った後だからよく滑る、微妙な坂道がある、など、普通に歩いていたら認知できないようなことがだんだんとわかるようになるのだそう。探検と芸術は「世界の見方を広げる」というところで、新たに結び付けられ、それによって未知の地平を垣間見ることができるのかもしれません。
今回の個展では、様々な地域を訪れてその身体で認識した事物を「箱」に詰め込んで発表します。箱に入れるとは、野口にとって記録という行為の探求であるとともに、自身に課した表現の規制であり、キュレーションへの挑戦でもあるのだといいます。
かつての探検家は、トランクにたくさんの鉱物や昆虫の標本を詰め込んで持ち帰り、人々を驚かせました。ミュージアムのはじまりは、そんな探検家たちのコレクションを並べた部屋であったのです。しかし、情報化という概念によって、すべてが相対化され絶対的価値を見失ったかのように思えるこの現代社会においては、「探検」そして「芸術」に新しい発見を見いだすことはもはや不可能であるという諦念を抱くことは容易いかもしれません。ただそうした状況においてなお、「芸術」そして「探検」を、新しい発見や知をもたらす「未知なる経験への入り口」として捉えなおしてみることができるのではないか。野口の「芸術探検家」という哲学は、そんなことをわたしたちに語りかけ、問いかけているようには思えないでしょうか。
芸術探検家。その言葉の響きに首を傾げた人も、わくわくした人も、今回の個展に「探検」しに来てください。そして、鑑賞者の皆様自らが「箱」を開け、野口の探検の成果に触れていただけたらと思います。多くの方々のご来場をお待ちしております。
(高橋萌香)

野口竜平

芸術探検家。武蔵野美術大学で版画とパフォーマンスアートに触れ、早稲田大学探検部でコンセプチュアルな探検や創造的な登山を経験したことから、環境と精神の相互的な働きかけを促す行為としての、移動/制作について考えるようになる。 […]