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立体交差

山本篤

2026.1.7[水]_ 2026.1.25[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

2年に一度、新年の一発目に山本くんに個展をお願いするようになって久しい。改めて数えてみたら今回で8回目にもなっていた。時間にすると2倍だから、人が生まれてから高校に入学するぐらいの月日ということ(ちょうど私の下の子も、今年、高校生になる)。
それを考えると、結構な長い時間なわけで、もちろん山本くんはOngoingでの個展の前からもずっと作品を作り続けているから、その量は目が眩むほど膨大だ。この人の頭の中はどうなっているのかと思うぐらい、彼は映像を作ることをやめようとしない。
どの映像にもそれが出来上がる動機やイメージやコンセプトがあり、作品を見た後にそうした一つ一つの背景を本人に聞いてみるのも楽しみだったりする。大抵は作品からは想像できない、訳のわからない言葉を使った小難しい話を山本くんはしてくれて、こいつは一体何を言っているのかと笑いながら聞いたものだった。
映像作品と一言でいっても、これだけの長い年月、作り続けているから、その内容や見せ方も、バラエティーに富んだものへと変わってきた。一発ギャグのような短編の作品から、身体の運動の記録のようなもの、時には静かで詩的な作品、それからロードムービーのような長編や、沢山の画面を用いたインスタレーションなど、映像というメディアでできることを全てやってやろうという気概を感じる。ただ出来上がってくるものには、どれも山本くんの特色みたいなのがあって、それは言葉が追いつく直前に逃げ切られる、そんな感覚だ。
これまで長い間、いろいろと山本くんの作品を観させてもらってきたけれど、今回の展示は、彼の原点に戻ったかのような作品の数々が所狭しと並んでいた。どれもがバラバラで、意味があるようでいて、それが何かを掴むことは相変わらずできやしない。全部の作品の設置が終わり、山本くんが帰っていった後に、誰よりも早く展示を観させてもらった。一つ一つの作品を観ながら、一人でゲラゲラと声を出して笑っていたのだけど、ふと涙が出そうになる瞬間があった。山本くんの作品の中で何かが大きく変わったわけではないのだけど、そこには、これまで気づくことのなかった、時間の重みのようなものが展示空間全体を包んでいたのだ。
今回の個展のタイトルは、山本くんの家の近くにある立体交差を舞台にした作品を多く発表していることがその理由の一つだそうだ。ただ、それに加え、多数の時間軸が同時に存在していて、それぞれは別々に流れているにもかかわらず、偶然にも1箇所で交差している、そんな意味も込められているのだろうと思った。
これまでにあったこと、いまおきていること、これからはじまること。世界の成り立ちの不条理とおかしみとかなしみ。時間が過ぎてしまうことと新しい命が生まれること。本人がそんなことを意図しているかはわからないけれど、時の重層性のようなものが私にはしみじみと感じられ、展示空間の真ん中でどうにも泣きそうになってしまったのだ。
新人として登場した山本くんもいつの間にか中堅をとうにこえ、あんなにスリムだった好青年は二人のかわいい娘さんの父親となり、年相応に身体もどデカく変貌し、訳のわからない言葉にも説得力が生まれた。無常にも時は過ぎていくけれど、人生は続いていき、様々な事象は絡み、交わり合いながら、それぞれに影響を与え続けていく。そこに意味があろうがなかろうが。そんな当たり前だけど、おそらく尊いことを今回の山本くんの展示を観て感じました。きっとみんなも観た方がいいよ。
(Art Center Ongoing 小川希)

会期中イベント

1月10日(土)19:00-
新年会という名のオープニングパーティー
加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)


1月18日(日18:00-21:00(出入り自由)
ノン 正月編
山本さん あけましておめでとうございます (松岡はる、石田裕己、羽鳥直人平岡希望、ワタナベマホミand more…)
参加費:1000円(入場料含む)


1月24日(土)19:00-
大木さんについてみんなで話しをする夜
参加費:無料
昨年2025年10月14日に逝去された映像作家の大木裕之さん。お酒や飲み物を持ち寄ってみんなで大木さんについての話をゆっくりしましょう。


1月25日(日)19:00-
オンゴーイングスクール

参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説)

山本篤

1980年、東京都生まれ。多摩美術⼤学絵画学科油画専攻卒業。現在、東京を拠点に活動。現代社会が抱える問題を切り口にしたフィクション作品からごく私的なドキュメンタリー、コント的な実験作品など多彩な映像作品を意欲的に制作する […]