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a頭かな柔さはら

東野哲史

2019.01.05 [土] - 2019.01.20 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

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1月5日(土)19:00~
平成最後の新年会という名のオープニング・パーティー

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1月12日(土)19:00〜
東野哲史のaゾーン上映会

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1月20日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

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1月20日(日)19:00〜
ホネグミ 4th ギグ 4 UWI
出演:鈴木恒成、東野哲史、山崎隆史

気づけば東野さんとの付き合いも10年をとっくに超えていた。僕らは同じ年齢で、共に1976年の5月生まれ。初めに彼と出会った時は僕も作品を作っていた時期で、自然とどんな作品を作っているのかに興味が湧いたのだけど、その作品群をみて圧倒された記憶がある。あー、こんなくだらないことを、こんなに真面目にやっている作家がいるんだって。ただ東野さんの一つ一つの作品に爆笑しながら、徐々にその笑いは尊敬に近い感情へと変わっていったのだった。この人のブレなさはすごいと。
東野さんの表現は、細かなオブジェが散りばめられたインスタレーション、映像作品、パフォーマンス等々と幅が広い。これといって毎回決まったモチーフはないのだけれど、そのどれにも取るに足らないくだらないエッセンス=東野さんの本気の手触りが感じられる。黒縁メガネ、カツラ、修正ペン、増えるワカメ、有効期限切れの防虫剤、そして鼻毛。これまで気にかけることのなかった小さな小さな存在は、東野さんの手にかかれば決して忘れることのできない存在=芸術作品へと姿を変える。笑いという癖の強いスパイスを伴いながら。
僕がアートをプロデュースする側に転向してから短くはない時間が経ったけれど、東野さんのように一貫してくだらないことをやり続けている作家には一度も出会ったことがない。本人は自身のことを非生産的生産活動家と自称しているが、活動家の名に恥じぬ一本筋が通った態度を示し続けている。そして、「生産性」という言葉で炎上した差別主義者の政治家を引き合いに出すまでもなく、東野さんの活動は圧倒的に非生産的なくだらなさで、凝り固まった世界の価値観を徹底的に生産的に打ち砕いてみせるのだ。
Ongoingでは約3年ぶりとなった今回の個展のタイトル『a頭かな柔さはら』も、その文字から意味を読みとこうとすれば抜け出せない迷路に迷い込んでしまうだろう。ただ携帯の文字入力画面に目を移せば、自分がいかに一つの物の見方しかできなくなっているかという事実を突きつけられる。くだらねーって笑いながらね。アートという枠では到底くくることのできない、こうした東野さんのアーナーキーな活動を僕はこれからも断然支持していきたい。だって何度見ても、このくだらなさったらないんだもの。
(Art Center Ongoing 小川希)

東野哲史

1976年滋賀県生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。非生産的生産活動という名目のもと、日常の取るに足らないものごとや単なる思いつきに対してのレスポンスを制作の起点として、インスタレーション、ビデオ、W […]