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ふたつのトワイライト

柴田早理+上條信志
Selection by 三田村光土里

2024.5.15[水]_ 2024.5.26[日]
12:00‒21:00(月火定休、水木金は16:00〜18:00まで一時休憩)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

『ふたつのトワイライト』に寄せて
オンゴーイングの小川さんから若いアーティストの展示をやらないかと聞かれて、即座に思い浮かんだのが柴田早理と上條信志の2人展でした。二人は私が講座を受けもつアートスクールの修了生でもありますが、なぜこの二人だったのか特に理由はありませんでした。でも、この「理由がない」というのが重要で、そういうときの勘は大体正しいのです。
二人は絶えず進化し続けているので、つくったものはすぐに過去になり、いつまでもそこに留まってはくれません。なので私がキュレーションと称して、過去作から読み解いた幻影に縛り付けないよう、彼らが生み出すままに委ねることにしました。そして、ある日ふっと『ふたつのトワイライト』にタイトルが落ち着いた瞬間、全てが繋がって見えました。
世界中を旅しながら貪欲に制作する柴田は、精霊信仰の祈りに制作を重ね合わせて「作ることによって救われ、人間の本能としての芸術の力を実感している」と、苦しい時期を振り返ります。山村部で生まれ育った彼女は、タイの山岳少数民族の家に故郷との不思議な類似性を見出します。故郷の因習的な「家」の価値観とは対照的な伴侶に出会い、家に縛られずに働くデジタル遊牧民となって、改めて家というものへの気づきを『ゆらゆらする家』という作品に映し出します。
上條は、活動初期には自身のルーツに纏わる文化や社会への問題意識を映像やインスタレーションで演じて観せていましたが、最近はより視覚化の洗練に注力しながら「時間の観念や人の営みについて新たな視座から捉え直し、私たちのいる世界の、とめどない時間そのものを見つめなおしたい」と言います。人の外見に抱く「好み」を決定づけてしまう要因を問い直す『解体新書』と、祖母の日常から老いの孤独や内面に眼差しを向ける《Lost and Found》の2作を発表します。
彼らの人生時計は、まだ眩しい午前中のはずなのに、タイトルの「トワイライト」は、どこか老生した死生観をちらつかせています。わかりにくい例えですが、その輝きは透明な集光板のエッジの光だとか、夕陽の逆光に浮かび上がって光る雲の輪郭のような、キラリとした明るさなのです。
自分を通して世界を見ようとする彼らの内側では、時代の混濁から精製されて純化した結晶が、祈りと慈悲の光を灯して、隔たりや境界の無い世界へ私たちを導き諭してくれるかもしれません。
三田村光土里

会期中イベント

5月18日(土)19:00-
オープニングパーティー

1,000円(軽食+1Drink+入場料

5月19日(日)15:00-
オンゴーイングスクール

1,000円(お好きなケーキ+1Drink+入場料)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説

5月24日(金)
『Sounds at Twilight』
電子ピアノによるBGM生演奏
ゲスト:小野田藍

14-16時「昼の部 / Vexations」
18-20時「夜の部 / Electric Counterpoint」
(カンパ制)

5月25日(土)19:00-
トークイベント!
写真をやっている人の雑談会(仮)
制作生活や家と移動について
などなど
ゲスト:うつゆみこさん

(要1Drinkオーダー

5月26日(日)19:00-
クロージングパーティー

1,000円(軽食+1Drink+入場料

柴田早理

富山県の山村部で生まれ育つ。立教大学現代心理学部卒業後、IT企業で金融系の仕事に従事。現在は起業し東京を拠点に移動しながらグローバル資本主義社会とそれに関連する環境問題を主題に作品制作に取り組んでいる。主な展覧会としてイ […]

上條信志

1998年東京都生まれ。現在、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻在籍。視覚的な関心を主軸に、映画に擬態するような形式を用いながら、時間の概念や人間の営みについて新たな視座から捉え直す表現を行う。A-TOM AR […]