Art Center Ongoing

SEARCH EXHIBITION & ARTISTS

同じ地域の川

川島健之介 / 永田茉那

2023.11.22[水]_ 2023.12.3[日]
12:00‒21:00(月火定休、水木金は16:00〜18:00まで一時休憩)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度Art Center Ongoingでは、川島健之介と永田茉那の二人展『同じ地域の川』を開催します。川島と永田は共に2023年に武蔵野美術大学を卒業しており、油絵学科で同級生であった者同士です。学部時代にもグループ展を行ってきた二人は、作家としてお互いを認識し合う作業を行っており、共作のドローイングが本展示のメインビジュアルとなっています。
永田は油彩のほかに木炭やクレヨンといった素朴な画材で絵画制作を行う傍ら、時にはそれらの絵画をもう一度分割したコラージュや、立体的な素材を用いた空間的な仕事により独自の空間認識を手探りで導こうとします。そういった行為は、自身が確かに経験したはずの「忘れた風景」を再現したいという動機によるものです。「忘れた風景」とは、実際に永田が育った静岡の明るさや浜松駅の構造から体感してきた造形感覚から、どこかもわからない相対的なイメージ、もしくはそれらによって自身が幼少期に思い描いた実在しないあるひとつの風景のテクスチャー、そういった経験したはずの、絶対的に再現不可能なことによるノスタルジーを指しています。これまで永田はそれらの風景に、過程の記録やコピー&ペーストを繰り返すことで、到達することを試みてきたと話します。空間での表現を行う際には三次元に対して、自身の思う実物大のスケールを構成する手法をとります。それは「明るさ」や「遠さ」を造形する永田にとって絵画の仕事そのものです。今回の作品では自身の描いた「ふたつ用意」した「水たまり」の絵画を、分割し再度組み立て直すことによって「川」を導きました。自らの「人工的な水」を流れるように丁寧に行為を辿ることで「忘れた風景」があったことを記録しようという試みです。
一方の川島はドローイングや手仕事を制作の主軸としています。美術大学での講評会において、ドローイングが作品として成立していないという指摘を受けたことに対して違和感を持ち、自分の作品のあり方について考えたといいます。川島は、制作を記録・保存する行為自体を“物質”という形として表現してきました。これまでの作品では、ドローイングとして制作した自身の作品をコンクリートの中に埋め込み、それを土に埋め、掘り起こすという儀式的な行為を繰り返し行っています。川島は、形がすぐに現れなおかつ良い意味での野暮ったさがある“セメント”という素材に魅力を感じており、彫刻的な物質の現れではなく、立体の絵画としての意識を持ちながらその素材を扱ってきました。今回の展示においては、自身の作品の新たな見せ方を探求するため、糊を用いた新作を発表します。
永田と川島は画家を自認しているという点では共通していますが、作品の出力方法が異なる作家たちでもあります。二人の作品の平面と立体の意識、そして記録という行為は同じ空気を纏いながらも、距離のある作品群として連なっています。ぜひこの機会に、二人の若き作家たちの絵画的アプローチの新鮮さを展示会場で直接味わっていただけたら幸いです。
(Art Center Ongoing 手塚美楽)

会期中イベント

11月25日(土)19:00-
オープニングパーティー
1,000円(軽食+1Drink+入場料

12月2日(土)19:00-
ゲストトーク

ゲスト:石井友人(アーティスト)、高石晃(アーティスト)
1,000円(1Drink+入場料

ゲストプロフィール

石井 友人 Tomohito Ishii
1981年生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。
自ら撮影した写真や既存のイメージをソースとして絵画化し、情報の受容装置としての視覚を問題化した作品を発表している。近年は観葉植物をモチーフとした油彩とUVプリントによる、天地反転したダブルイメージの絵画を制作し、都市空間と不可分な人間の記号的認識を変容させる試みを行なっている。アーティスト活動とともに「わたしの穴 美術の穴|地底人とミラーレス・ミラー」などキュレーション活動も展開している。

高石 晃 Aklira Takaishi
1985年神奈川県生まれ。近年の個展として「Place Far Away from Anyone or Anywhere」(CSA space、バンクーバー、2023年)「Inner Surface」(Maki Fine Arts、東京、2021年)、「下降庭園」(clinic、東京、2019年)。アートプロジェクト「わたしの穴 美術の穴」名義でのキュレーションに「地底人とミラーレス・ミラー」(gallery αM、東京、2021年)他。



12月3日(日)15:00-
オンゴーイングスクール

1,000円(お好きなケーキ+1Drink+入場料)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説

川島健之介

2000年 群馬県生まれ 2022年 グループ展「代理の郷愁」2023年 武蔵野美術大学在学中 立川アートランド運営の一人

永田茉那

2000年 静岡県生まれ2022年 グループ展「代理の郷愁」2023年 武蔵野美術大学在学中