籠田沙希
2001年 兵庫県神戸市生まれ2020年 武蔵野美術大学造形学部油絵科油絵専攻入学2021年 グループ展「ユーモアの犬」 □会場:武蔵野美術大学 fal2022年 キュレーション展「エンバイロメントマッピング」 □キュレ […]
2025.4.16[水]_ 2025.4.27[日]
12:00‒21:00(月火定休、水木金は16:00〜18:00まで一時休憩)
入場料: 400円(セレクトティー付き)
この度、Art Center Ongoingでは、籠田沙希による個展『ズッコケ人工島」を開催します。籠田は2001年生まれのアーティスト。映像やパフォーマンスなどを主として制作を続けています。漫才やコントなどのお笑いに興味を持ち、前回Ongoingで開催された二人展『ええ匂いなんかい」では、路上生活者をモチーフにしたパフォーマンスや映像作品を通じて、自分とは違う常識を持つ他者を貶すことで笑いが生まれる、その構造や仕組みについて言及しました。
本展覧会も、お笑いの構造について考察することで生まれた複数の作品で構成されています。籠田が漫才やコントなどのお笑いを鑑賞した際、それらの多くが、その時代の常識を土台としていることに疑問を抱いたことから今回の作品制作は始まったと言います。芸人と観客の間で同じ常識を共有することを前提として、そこから外れた言動をとるボケとそれへのツッコミによるお笑いのことを、籠田は「パッケージ化された笑い」と呼びます。そしてその構造はお笑いの枠組みだけでなく、我々の日常生活の中でも存在するとも話します。
こうしたパッケージ化された笑いは、時代が変動するとともに、笑うことができなくなっていくものも多くあります。籠田自身も、10年以上前にテレビで放送されていた容姿をいじるお笑いを視聴した際、当時は笑っていたはずが、今は笑うことができなくなっている自分に気づいたことがあると言います。その一方で、籠田は、友人から自身の言動を貶されて不快な気持ちになった経験を持ちますが、お笑い芸人が他者の容姿や言動を貶して笑いをとっている様子を見た際に、それを面白く感じ、自身が貶されて受けた傷が癒されていくような感覚になったことがあるとも話します。
時代によって常識が変動していくなか、お笑いで誰かを傷つけていないかどうかの線引きを探すことは、ある意味いたちごっこの行為でもあります。そこで、籠田は、常識そのものをボケにした笑いを扱うことはできるのか、本展覧会で模索しようとします。
展覧会のタイトルにも登場する「人工島」は、私たちがすでに受け入れている存在=常識の一つですが、一体誰が最初に、山を削ってできた土を持ってきて島をつくったらいいと言いだしたのか。またそうした計画に誰が許可を出したのか。そして、「山を削ったら、その場所に平らな地面ができ、そこに家を建てられて一石二鳥だ」と人々が盛り上がっている光景が頭に浮かぶなど、既に常識となっている「人工島」について改めて考えてみると、それを成り立たせている様々な要素が非常に面白く感じてきたのだと言います。
常識はずれを笑うお笑いは、演者と鑑賞者たちの間でその常識を共有するという、共感のもとに構成されていますが、今回の「人工島」のように、パッケージ化されていないものを笑えるようにするためには、解釈する本人が一人で考えることでしか成立し得ない、孤独な行為ともいえるでしょう。この可能か不可能かもまだ分からない、「常識」そのものをボケにした笑いに孤高にも果敢に挑戦した、籠田自身の初めての個展となる本展『ズッコケ人工島」。ぜひこの機会に多くの方々にご高覧いただければと思います。
(Art Center Ongoing 松岡はる)
4月19日(土)19:00-
オープニングパーティー
参加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)
4月26日(土)19:00-
トーク
ゲスト:柴田祐輔
参加費:1,000円(入場料含む 1drink付き)
4月27日(日)15:00-
オンゴーイングスクール
参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説
2001年 兵庫県神戸市生まれ2020年 武蔵野美術大学造形学部油絵科油絵専攻入学2021年 グループ展「ユーモアの犬」 □会場:武蔵野美術大学 fal2022年 キュレーション展「エンバイロメントマッピング」 □キュレ […]