野口竜平
1992年東京生まれ。藝術探検家。武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻卒業。在学中は早稲田大学探検部でも活動。距離・時間・思想などの“隔たり”を、遭遇と詩的想像のためのアジールとして捉え、それを立ち上げる実践を〈藝術探 […]
2025.8.27[水]_ 2025.9.7[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度Art Center Ongoingでは野口竜平の個展、藝術探検ポイント4 「ごろつきと南の島々」を開催します。野口は1992年東京生まれ、藝術探検家を称しており、武蔵野美術大学在学中は早稲田大学探検部で活動していました。Ongoingでの「藝術探検ポイント展」は今回で2度目となります。2019年に台湾を初めて歩いたのをきっかけに、種子島、屋久島、奄美大島、フィリピン・パナイ島とタイヤひっぱりを続け、独自の旅のスタイルと道具を発展させてきました。本展では、旅の道具と2025年7月に歩いたインドネシア・モロタイ島の旅行記を発表します。タイトルにある「ごろつき」とは、野口が学生の頃から関心を深めてきた漂泊芸能者の姿、タイヤをひっぱるときに響くごろごろとした音、島が持つリラックスした空気をイメージしています。
野口が歩いてきたこれらの「南の島々」は、国境という見えない線によって区切られています。しかし、視点を地図上に置いてみると、国境以前に全ての島は海によって互いに隔てられており、さらに俯瞰すると、広く太平洋を縁に弧を描くような無数の島々の連なりが浮かび上がってきます。野口は、「島々」を、海という隔たりのもと、一つにならないまま繋がり合う━━バラバラなまま一緒にいるための象徴として捉えようとしています。野口の行為が、人種や属性ではなく“タイヤを引きずって歩いている意味のわからない存在”として認識されるとき、それは、アーティストとしての肩書きや、美術という大きな物語の大義名分も、意味を失い、予期せぬ何かを招き入れるための余白が生まれているのかもしれません。
「南の島々」と聞くと、そこにはリゾートがあるような気がしてきます。白い砂のビーチや熟れた果物、ショッピングモール、アロハシャツを着た休暇中の観光客たちがいるかもしれない。けれど、それはわたしたちの勝手なイメージにすぎません。「南の島々」という言葉が持つ甘美なイメージは、大日本帝国が南方進出を語る際に利用されることが多々ありました。。「南の島々」に抱かれたおだやかであたたかいイメージは当時の日本人の憧れとなり、その憧れは植民地支配というかたちで姿を現したのです。
野口は「南の島々」を探検します。“探検”と聞くと、勇気や、主体的に動いている感じ、そして未知の土地だけではなく認識やルールを越えることも意味として含まれているように感じられます。野口はこの“探検”が「探検する自己/探検される(場所にいる)他者」を分かつ言葉であることについても自覚的な態度でいます。タイヤを引っ張り、極限まで歩く。その探検を繰り返すことで野口は国境として地形に引かれた線を溶かしているのかもしれません。この機会に藝術探検家・野口竜平が追い求める新たな共同体のとらえ方を、ぜひご高覧ください。
(Art Center Ongoing 手塚美楽)
8月29日(金)19:00-
オープニングパーティー
参加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)
9月6日(土)17:00-
ゲストトーク
「タイヤをひっぱる仮面、蛸の触手としての群島」
ゲスト:今福龍太(文化人類学者)
参加費:1,000円(入場料含む 1drink付き)
この夏『仮面考』を刊行した今福龍太と、タイヤを引き南の島々を歩く野口竜平が語る夜。仮面、群島、クレオール➖バラバラなまま一緒にいるためのヒントを探ります。

今福龍太
文化人類学者。カリブ海・メキシコ・ブラジルでクレオール文化を研究。奄美・沖縄・台湾を結ぶ野外学舎〈奄美自由大学〉主宰。三線や月琴を抱え、現代における「吟遊詩人」の可能性を探る。サンパウロ・カトリック大学、台湾・淡江大学などで客員教授を歴任。著書に『ヘンリー・ソロー野生の学舎』(讀売文学賞)『宮沢賢治 デクノボーの叡知』(宮沢賢治賞・角川財団芸学賞)ほか多数。
9月7日(日)15:00-
オンゴーイングスクール
参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説)

1992年東京生まれ。藝術探検家。武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻卒業。在学中は早稲田大学探検部でも活動。距離・時間・思想などの“隔たり”を、遭遇と詩的想像のためのアジールとして捉え、それを立ち上げる実践を〈藝術探 […]