岩井優
1975年京都生まれ。国内外の地域にて参与的な手法で活動に取り組み、洗浄や清掃という日常行為に着目し、その背後にある社会的・記号的意味を顕在化するような映像やインスタレーション、パフォーマンスなどを発表。主な展覧会に、「 […]
2024.11.27[水]_ 2024.12.8[日]
12:00‒21:00(月火定休、水木金は16:00〜18:00まで一時休憩)
入場料: 400円(セレクトティー付き)
この度、Art Center Ongoing では、岩井優(いわいまさる)による展覧会「11月27日-12月8日」 を開催します。岩井は洗浄や清掃という行為に着目し、映像やインスタレーション、パフォーマンスなど様々な表現方法で発表を続けるアーティストです。
岩井は、洗浄や清掃にはある種の強迫性が含まれると考え、その状態を「クリーナーズハイ」と名付けました。 それは、汚い対象を清掃しなくてはいけないという理念に取り憑かれた結果、 行き過ぎた清掃を長時間行い、 快楽へとつながっていくような状態を指します。 岩井の作品は、そうした何かを一掃する際の感情的高まりが、ときに暴力を引き起こす原因にもなりうることをあらわにします。
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、第1回目の緊急事態宣言が解除された2020年5月26日から、岩井は下記のルールに従いほうきがけの撮影をはじめました。
1. マスクを着用する
2. 自身の周囲半径1m
3. 動画の時間は365秒
4. 365日の行為
5. 1年で24時間を記録する
6. 屋外公共スペースのみ
7. 同じ場所を掃除しない
8. 動画をYoutubeに保存する
このような場所と時間を変えるほうきがけは2021年5月26日まで毎日行われ、岩井にとってのルーティーンワークになりました。本展覧会では、ルールに則ったYoutubeの動画と、それらを 1 日 1 秒に編集した365 秒の映像が展示されます。
そして、 もう1つのルーティーンワークとして、本展会期中 毎日会場を清掃し、そこで集めたチリやホコリをスキャンします。誰かから落ちた毛髪、設営や搬出のときにでた木屑、来場者の靴から落ちた土など、会場に散らばるそれらを記録します。さらに画像を反転する作業を加え、会場の新たな記録物としての側面を映し出します。本作品は来年以降の岩井の制作に接続していきます。
また一階では、岩井が現在行なっているインドでのリサーチについて、写真やメモを用いたブレインストーミングを展開します。インドでは現在世界最大級の原子力発電所をつくる計画が立てられています。日本ではあまり知られていないその土地の、継続的な観察・リサーチは今後も行われる予定です。
本展は、 コロナ禍という過去に制作された映像作品、 今後も同じ手法でアプローチする予定の作品、そして、岩井自身も「どうなるか分からない」と語るリサーチによって構成されており、 それぞれ 経過時間の異なる作品が、オーバーラップをしながら地続きに展開されます。
岩井による現在進行形の表現の数々を、この機会にぜひご覧いただければと思います。
(Art Center Ongoing 松岡はる)
11月30日(土)19:00-
オープニングパーティー
参加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)
12月6日(金)20:00-
トーク
ゲスト:SIDE CORE
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)
12月7日(土)17:00-
トーク
「ケってなんだろう。ケカラハと考える。」
ゲスト:松尾孝之(美術家)
平諭一郎(東京藝術大学 未来創造継承センター 准教授、芸術保存継承研究会 主宰)
小瀬村真美(美術家)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)
松尾孝之、平諭一郎、小瀬村真美を交えて、来年都美館でおこなうグループ展のテーマである「褻(ケ)」について飲みながら「ケカラハ」のメンバーと一緒に考えます。「ハレとケ」のように合わせて捉えられたり、「日常」と訳されることの多い「褻(ケ)」ですが、あまりよく分かりません。「褻(ケ)」とその周辺やアーカイヴを巡って対話します。
松尾孝之(美術家)
武蔵野調理師専門学校卒業後、早稲田大学芸術学校にて建築を学ぶ。2008年に渡米し、アーティスト活動を開始した。現代社会にとって無用とされがちな物事を対象に、それらを考古学の手法に習って記録、修復、保存することで「現代考古学」として作品化する。
平諭一郎(東京藝術大学 未来創造継承センター 准教授、芸術保存継承研究会 主宰)
文化財、美術品の再現や復元制作とともに、領域横断的な芸術の保存や継承について研究し、展覧会、論考、作品として発表。主な企画に、2018年「芸術の保存・修復―未来への遺産」展、2021年「再演―指示とその手順」展(共に東京藝術大学大学美術館)
小瀬村真美(美術家)
17世紀西洋の静物画における写実描写などを参照し、写真の加工や絵画の構図などを巧みに利用した映像インスタレーションや写真作品を制作している。絵画・写真・映像の掛け合わせに豊かな可能性を見出し、近年はそれぞれのメディアが内包する空間や時間の構造を利用しながら、新たな視覚表現を追求している。
ケカラハはアートにおける「東洋的もしくは日本的方法論は可能か」を模索するプロジェクトとしてアーティスト同士の対話から2023年に始動したグループ。「日本の秩序や習慣、そして、そこからこぼれ落ちたもの」を丁寧に再考していくトークや展示等を企画し、アーティストだけではなく、さまざまな専門家とともに分野の狭域な視点や個人の話を共有していく場を模索している。
12月8日(日)15:00-
オンゴーイングスクール
参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説
1975年京都生まれ。国内外の地域にて参与的な手法で活動に取り組み、洗浄や清掃という日常行為に着目し、その背後にある社会的・記号的意味を顕在化するような映像やインスタレーション、パフォーマンスなどを発表。主な展覧会に、「 […]