Art Center Ongoing

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未知なる大陸、重層的な世界

山本篤

2018.01.06 [土] - 2018.01.21 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

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1月6日(土)19:00~
オープニングパーティという名の新年会2018
恒例のオープニングパーティを兼ねた新年会を開催します。

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1月14日(日)19:00~
アフリカとNGOの仕事について
アフリカで撮影された作品や、写真・動画などを見せながら、普段の仕事についても紹介します。

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1月20日(土)19:00~
Ongoing Collective presents
奥能登口伝資料館 凱旋企画「あの夏をもう一度」
2017年夏に開催された奥能登国際芸術祭「奥能登口伝資料館」展示の報告会に加え、山本、和田、小鷹の出品作品を一挙上映します。

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1月21日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
「未知なる大陸、重層的な世界について」
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

2018年の一発目、と同時にArt Center Ongoingの10年目の最後を飾る展示は、映像作家の山本篤くんに迷わずお願いすることにした。気づけば彼との付き合いも長くなったけど、出会った当初よりただものじゃないオーラは全開。評論家やキュレーターなんて肩書きだけでは決して追いつくことのできない、完全独走態勢の作品を作りだしていた。
アーティストの仲間内ではよく知られていることだが、山本くんは、「ある意味」とかではなく「正真正銘」の変態アーティストである。それは下品とか破廉恥などといったことでは全然なく、スタイルやコンセプトなんてものをすっ飛ばして、彼の中で今一番面白いと思えるイメージやビジョンを作品へと昇華すること、ただそれだけのために生きている、その姿勢に対しての畏怖の言葉。結果、変態しか作り上げることのできない、ぶっちぎりの作品だけが彼の後にはずらりと並ぶことになる。
ただし時代は変わる。そんな山本くんは、最近では天下の森美術館で展示をする作家になっていたのである。ようやく時代が追いついた? あるいは彼のスピードが落ちてしまったのか? ここ数年の山本くんの活動を振り返ってみれば、ちょうど2年前に開催した前回のOngoingの個展以降、長編の映像作品を敢えて手がけている気はする。それまでは狂気を伴う無数の短編映像を次々と生み出していたのだが、最近は複雑な構造をもった長尺の映像作品が目立つのだ。
もちろん、近年の山本作品が長編になったからといって、誰にでもわかりやすいストーリー仕立てになっているはずもなく、その狂気性は鎮まるどころか、むしろ加速している。一つの作品の中で様々なエピソードが絡み合い、山本くんのぶっちぎりの欲望は濃度を増して熟成されていっている。
結局、僕らは山本くんの作品に言葉で追いつくことなんてできるはずもなく、ただただその世界にたゆたうのみ。Ongoingの節目となった今回の個展ではダブルスクリーンの新作長編で迎えてくれた。しかし、なんだろうこれ。この観終わった後に、じわじわと湧き上がってくる得体の知れない感覚。山本くん、この釈然とせず、しかしながら心を鷲掴みにされた感じはどうしたらいい? 10年経っても山本作品、全然意味わからなくてやっぱり最高だから、これからも一緒に考えさせてください。ありがとう、そしてよろしく。
小川希(Art Center Ongoing)
Art Center Ongoingの10年目の最後を飾る展示は映像作家の山本篤の個展『未知なる大陸、重層的な世界』。ここ数年の山本の活動を振り返ってみれば、ちょうど2年前に開催した前回のOngoingの個展以降、長編の映像作品を多く手がけてきていた。それまでは狂気を伴う無数の短編映像を次々と生み出していたのだが、最近は複雑な構造をもった長尺の映像作品が目立つのだ。一つの作品の中で様々なエピソードが絡み合い、山本のぶっちぎりの欲望は濃度を増して熟成されていく。本展では自身初の試みとなるダブルスクリーンの50分の新作長編を発表。強烈な個性を持った複数の人物が、自身の哲学や人生についてとうとうと語る映像。それらをつなぐようにアフリカで撮影された映像が流れ、そして突然、山本自身が右のスクリーンから左のスクリーンへと跳躍する。観者は映像の中になんらかのストーリーを追おうとするが、そんなことはもちろん許してもらえない。私も当然、全く意味がわからなかったけど、ただ、これまで人間の可笑しみや悲しみ、あるいは狂気を繰り返し描き続けてきた山本が、今回の新作によって私たちが生きるこの世界の仕組みそのものに着手し始めた気がしたのだ。どれもがバラバラのように見えて、しかしどこかで共鳴しあう、人知を超えた終わることのない壮大なオーケストラ。この先の山本の新しい探究の旅の続きが楽しみでならない。

山本篤

1980年、東京都生まれ。多摩美術⼤学絵画学科油画専攻卒業。現在、東京を拠点に活動。現代社会が抱える問題を切り口にしたフィクション作品からごく私的なドキュメンタリー、コント的な実験作品など多彩な映像作品を意欲的に制作する […]