Art Center Ongoing

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去年米原で

東野哲史

2021.02.03 [水] - 2021.02.14 [日]
12:00-20:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)

<会期中イベント>

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2月7日(日)15:00〜
オンゴーイング・スタジオ 2021/02/07
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーを、インターネットで配信します。
https://youtu.be/7NVUX8U9j2s

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★★★緊急告知★★★
2月12日(金)22:00〜
「秘密社交クラブIBC presents DJサンミゲルのリモートどデカボイス!!」
出演:DJサンミゲル
https://fb.watch/4JA0DxCdgB/

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2月14日(日)19:00〜
オンゴーイング・スタジオ 2021/02/14
「ホネグミ 5th ギグ? リモート会議」
出演:鈴木恒成、東野哲史、山崎隆史
https://youtu.be/560mqa9LxcY

とことんふざけている。本気でくだらないし、さらにはしつこい。そこになんの意味があるのかと問えば、その答えは用意されているはずもなく、唯一あるのはただの爆笑。そうです、そんな誰にも真似できない(したい人もいない)ことを、永遠と繰り返す稀代のおじさん、それが東野さんなのです。
東野さんはブレない。そのふざけっぷりは筋金入りで、一寸の迷いもない。これだけバカなことを日々探求しているのだから、本人もさぞかし愉快で騒がしい輩かと思うかもしれないが、実際に会ってみると全くもって違う。口数は極端に少ないし、感情を表に出すタイプでもない。ぶっきらぼうで、逆に少し怒っているのかもとこちらが焦ってしまうほど。もちろん、そんなことは毛頭なく、実際は子煩悩でお酒好きの、単純にすっごくシャイなおじさんなのであるが。 だから尚更、東野さんの生み出すものには驚愕する。あきらかなカツラをかぶり80年代よろしく赤いローラースケートに乗って給仕をしてみたり、「東野哲史のサウンドインスタレーション」という言葉をエフェクトをかけてチープなジングル付きで連呼してみたり、釣り堀の店長に扮して相田みつをの詩を関西弁にしただけものを色紙にしたため500円で売りつけようとしてみたり、ひっこ抜いた一本の鼻毛に水をやりその長さを毎日測るプロジェクトなんて10年以上の月日が経っていたりもする(もちろん1mmも伸びないまま、今日も続いている)。あんな物静かでシャイな人が、本気でくだらないことを日々、頭の中で永遠と考え、淡々と実行し続けているのだ。本当にヤバい、ヤバすぎる。
ただしかし、東野さんがやっていることがアートなのかどうかと、フと疑問に思ってしまうことがあるかもしれない。僕自身、いつも東野さんの表現に死ぬほど爆笑しながら、「あーマジで、なんなんだこれはー」と頭の中が真っ白になってしまっていた。でも最近になってわかってきたことがあって、それで全然いいのだということ。それがアート、あるいは美術、あるいは芸術であるかどうかなんて、正直のところどうでもいい。僕が見たいのは圧倒的な生き様であって、だから吉祥寺のOngoing最後となるはずだった個展に、外でもない東野さんに声をかけさせてもらったのである。僕はあの揺るぎのない「くだらなさ」が大好きでしかたないのだ。
実際のところ、まさかの家賃の大幅値下げという奇跡が起きて延長することが決まった吉祥寺のOngoingだけど、とにかくしつこくやり続けるという、東野さんとの縁を勝手に感じていたりもする。そしてまた僕の好きなおじさんの個展が始まる。今回はまさかの時事ネタ。もちろんブッチぎりでふざけています。この暗鬱とした時代をいつの日か振り返るとき、東野さんの表現がセットで思い出されてしまうのは間違いない。「マジでなんだったの、あれ?」ってね。忘れることのできない笑撃があなたを待っています。
小川希(Art Center Ongoing)

東野哲史

1976年滋賀県生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。非生産的生産活動という名目のもと、日常の取るに足らないものごとや単なる思いつきに対してのレスポンスを制作の起点として、インスタレーション、ビデオ、W […]