Art Center Ongoing

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to install anti-monument

宮川知宙/寺田衣里

2018.08.08 [水] - 2018.08.19 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

撮影:宮川知宙

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8月11日(土)19:00~
オープニングパーティー

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8月12日(日)19:00〜
トーク/ディスカッション[彫刻学科教育改善に向けて]

昨年度多摩美で博士号を修得した寺田と、現在多摩美彫刻大学院に在籍する宮川が、多摩美彫刻学科の教育改善に向けたアクションについて、その経緯や現状をお話しします。
このトピックは、一つの美術大学の中で起こっている閉じた問題として扱われがちですが、その根底には日本の美術教育制度の歪みだけだけではない、政治的無関心や事なかれ主義などといった様々な問題が隠されています。
開かれた意見交換の場となれば幸いです。

[学生有志のページ]
https://sites.google.com/view/student-choukoku/home

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8月19日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

この度Art Center Ongoingでは、寺田衣里(てらだえり)、宮川知宙(みやかわともひろ)による二人展「to install anti-monument」を開催いたします。寺田は2018年に多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻を修了、宮川は多摩美術大学博士前期課程彫刻専攻に在学中です。本展示では、タイトルにもなっている共作の映像作品「to install anti-monument」をご覧いただくことができます。
「to install anti-monument」は、寺田がアンチモニュメントを制作しインストールするのを宮川も一緒に考える、一連の流れのドキュメントです。10年前、学部1年時に基礎実習課題で制作した重い石彫作品を持ち帰るのがどうしても嫌だった寺田は、その石を大学敷地内にある池に捨てました。彼女自身長い間忘れていたその話を寺田がふと宮川にしたところから、二人のto install anti-monumentが始まりました。
寺田は自身の博士論文「実現しなかった広島原爆慰霊碑逆説としてのモニュメントのあり方とアートの可能性」にて、逆説としてのモニュメントとは「過去の出来事を未来へ残し伝えるというモニュメントの目的のための造形である、記念性・永続性・不変性・壮大であることなどの要素(モニュメント性)を、あえて否定することで人々の記憶や意識にとどまる」ものであると記しています。
権威や圧力の象徴でもあることで元来強い政治性を孕むモニュメントと、それに対するアンチモニュメントの関係性は、二人が先年より尽力している活動と通ずるところがあります。寺田・宮川を含む多摩美術大学大学院彫刻専攻の学生有志は、同学科の権威主義的で閉じた体質に起因して起こるハラスメント、そしてその環境下で行われる画一的な美術教育に改善を求めるアクションを続けています。(https://sites.google.com/view/student-choukoku/home)
自身の足元で行われている政治に目を向け、その質を精査し言及する行為を積み重ねてきた二人によるアンチモニュメント制作は、日頃彼らが直面している問題、その解決に勤しむ行為と重なります。しかしそれは単に彼らの問題に終始するものではなく、私たちが属するそれぞれの場において、その場が抱える政治を考える行為の必然性を、私たちに問いかけます。彼らの場と私たちそれぞれの場もまた、地続きのところにあるのです。
寺田と宮川が共に考え制作したモニュメントの記録を、多くの方にご覧いただければと思います。
(津賀恵)

宮川知宙

1993年千葉県生まれ。2019年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。神奈川県を拠点に活動。 主な展覧会:「TOKAS-Emerging 2021(TOKAS本郷、東京、2021) 「引込線 / 放射線」(第19北 […]

寺田衣里

1987年生まれ。イサム・ノグチによる実現しなかった広島原爆慰霊碑案をカウンター・モニュメントの萌芽として再考するとともに、いまだモニュメント性を説く彫刻教育への批評を展開。文章、彫刻、映像、アクションなどで、政治的矛盾 […]