宇佐美遇
文字と絵の日記的なドローイングを元にインスタレーションや映像作品、写真作品などを制作しています。 2003年 愛知県生まれ2026年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業2026年 個展「頭脳と手の媒介者は心であらねばならな […]
2026.6.3[水]_ 2026.6.14[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度Art Center Ongoingでは、宇佐美遇(うさみあい)と真田紘汰(さなだこうた)による二人展『顔とその隔たり』を開催します。二人は3月に多摩美術大学絵画学科油絵専攻を卒業。卒業制作では大きな注目を集め、これからの活躍が期待される作家です。真田と宇佐美はパートナー同士であり、カップルでの展示でもあります。
本展タイトル『顔とその隔たり』は、ロシア生まれのユダヤ人哲学者、レヴィナスの『全体性と無限』からの言葉です。レヴィナスは、他者を「私」とは絶対的に交わることのない存在として捉え、他者は全く理解できない超越的な存在であるからこそ他者であると説きます。そして、レヴィナスは他者が現れる仕方を「顔」と呼びます。この「顔」という概念は、常に「私」の他者への観念を破壊し、はみ出してくるもので、「私」と「顔」の間には、「無限」の隔たりがあると述べられています。同時に「顔」という言葉は対面の関係を想起させます。
他者と自分の間の決して理解しえない、近づけない「無限」の隔たりをなかったことにして、自らの視点で他者を理解した気になってしまうことへの疑問視から、真田はレヴィナスの言葉を自らに引き付けてとらえました。真田は恋愛にまつわる友人との会話の中で、様々なパートナーの話を聞くことが多く、その会話の中で、自分の経験と照らし合わせ、会ったこともない人を理解した気になることに違和感を感じたといいます。他者との関係性は常に「顔」との対峙が迫られます。2026年に真田が発表した映像作品『次の日もまた』は、宇佐美と真田の共通の友人の実体験をもとに制作され、登場人物もその友人が演じています。短歌や日記のような回想の音楽も、友人たちの遊びの輪の中にいるかのように展開されていきます。真田は友人の失恋を扱うことについて、個人的なことを皆で捉え直し、歌や映像で表現していきたいと語ります。
一方の宇佐美は、日々のドローイングをもとにし、映像やインスタレーションなど様々なメディアを用い、制作を続けています。映画や漫画などのカルチャーから大きな影響を受けてきたと語る宇佐美。今回発表する作品は、岡崎京子の漫画『ジオラマボーイとパノラマガール』から着想を得たと話します。特にこの「ジオラマ」という言葉は、本展タイトルの「隔たり」に共通するものを感じたといいます。美術評論家の伊藤俊治が提唱した『ジオラマ論』では、近代以降、巨大な消費空間、展示空間となり演出された都市によって、人々は世界を縮小された展示物として眺めるようになったと指摘されています。ジオラマは、世界を縮小、固定化し、一覧できる装置です。ただ、実際には世界はより複雑で完全な把握は不可能です。しかしこのジオラマ化によって、人々は世界を俯瞰する視点を手に入れ、その複雑性を矮小化し、整理され編集された現実を受容するようになりました。宇佐美の作品の中でジオラマは、周りを取り囲まれながら袋の中でどこにも接することなく浮遊しています。この小さなジオラマは、どこか空虚で断片化された風景を感じさせます。パッケージングされた社会の見方で、私たちは一体何を認識し、理解しているのでしょうか。そして、実際その正体はなんなのでしょうか。
真田と宇佐美の共通する意識である、「他者」そして「社会」との関係性で感じる隔たりは、実際には複雑で完全に解消できるものでもありません。前述したように二人はパートナー同士ですが、むしろ互いを深く知るからこそ、ズレを生んでいきたいと話します。カップルという言葉ひとつのイメージにおいても、私たちが受ける印象や理解の仕方と、彼らが考える関係性はぴったりと合致するわけではありません。その人自体を見ること、あるいはその人自身の発話の声を聞くことこそが重要になってきます。人と関わる上で、無自覚に行われてしまうレッテルや排除といった暴力性に対して自覚的でありながら、真田と宇佐美の二人は人と関わることを諦めません。それは、現代を生きる私たちに求められる「他者」そして「社会」への態度のヒントとなるのではないでしょうか。二人の若き作家による世界への眼差しを、ぜひこの機会にご高覧ください。
(Art Center Ongoing 花崎眞)
6月6日(土)19:00-
ゲストトーク
ゲスト:荒木悠(アーティスト)
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)
6月7日(日)18:00-
オープニングパーティー
参加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)
6月13日(土)19:00-
宇佐美遇 / 真田紘汰 映像作品上映
参加費:1000円(入場料含む 1drink付き)
6月14日(日)15:00-
オンゴーイングスクール
参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説

文字と絵の日記的なドローイングを元にインスタレーションや映像作品、写真作品などを制作しています。 2003年 愛知県生まれ2026年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業2026年 個展「頭脳と手の媒介者は心であらねばならな […]

個人とそれを取り巻く大きな世界について物語化しています。卒業制作では失恋した友人を題材に映画を撮りました。 2001年 大阪府生まれ2026年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業 グループ展2022年 「polygram」 […]