Art Center Ongoing

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肖像のフレーミングのための開帳制作室

小宮太郎

2025.2.26[水]_ 2024.3.9[日]
12:00‒21:00(月火定休、水木金は16:00〜18:00まで一時休憩)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度、Art Center Ongoingでは、小宮太郎による展覧会「肖像のフレーミングのための開帳制作室」を開催します。
小宮は、絵画や写真作品、インスタレーションなどを制作するアーティストです。近年では、マスキングテープを重ねて貼り合わせることでドアが存在しているように見えるトロンプ・ルイユ(騙し絵)をつくり出した作品《The doors》などで広く知られています。
あるとき、小宮が電車に乗った際、手鏡を覗きながら化粧をしている人を見かけました。化粧をしている人が手鏡を介して見る姿=他者の肖像と、小宮から見たその人の姿は、反転しており同じものではありません。手鏡に写った他者の肖像を見ることができないと強く感じた小宮は、「portrait」という手鏡をスキャニングする作品シリーズの制作を始めました。本来、誰かを写すものであった手鏡をスキャニングすると、鏡の面が真っ黒に出力されて、鏡の機能を持たない物質として表れます。
「portrait」シリーズをはじめた2009年、小宮はたくさんの知り合いから手鏡を借りてスキャニングしました。スキャンする中で、いくつかの手鏡が当時の折りたたみ式携帯電話と形状が似ていたり、一方で、スマートフォンにも見えるシルエットの手鏡も見受けられたと言います。今日ではスマートフォンのカメラなどをつかっていつでも自分を映し出し、見ることができます。しかし、スマートフォンの電源が切れて、真っ黒なガラスとしての機能しか作用しなくなったとき、そこに写る姿は、カメラに映る姿とはまた異なります。気軽に自分自身をうつすことのできる手段が増えた昨今、手鏡やスマートフォンで自身の肖像を見る人のまなざしは変化してきているのかもしれません。
本展覧会では、小宮が鑑賞者の手鏡やスマートフォンをスキャニングする公開制作を行います。手鏡やスマートフォンは持ち主の肖像を写すものですが、スキャニングすることで、鏡としての機能を持たない物質そのものの肖像が浮かび上がります。しかし、肖像となったそれらの、色やかたち、傷などの情報からは、持ち主の存在が見え隠れします。
会場では、手鏡やスマートフォンを借りるにあたり、小宮と鑑賞者が同意書を交わします。同意書を交わすこと、また、小宮と鑑賞者が会話をすることは、肖像から個人の物語が派生するきっかけにもなります。
カーテンで囲まれた制作室でのスキャニングはまるで儀式のようです。鑑賞者と小宮のあいだで捉え直され、変容する「肖像」のあり方を、ぜひ会場でご覧ください。
(Art Center Ongoing 松岡はる)

会期中イベン

2月28日(金)
18:00-19:00
アーティストトーク
出品作品と制作背景について迫っていく
参加費:無料
ゲスト:小宮太郎(本展アーティスト)
聞き手:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)

池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
インディペンデント・キュレーター。森美術館でアシスタントとして経験を積み、2023年春に独立。山中suplexの共同プログラムディレクター、アートセンターBUGおよび「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」のゲストキュレーターを務める。


19:00-
オープニングレセプション
加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)


3月2日(日)15:00 – 17:00
ワークショップ
みえない自画像(portrait)をつくってみる?
加費:1000円(入場料含む 1drink付き)
対象:中学生以上
ゲスト:小宮太郎(本展アーティスト)
ファシリテーター:池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
予約ページ:https://forms.gle/XdAE8sEBWCBFXrsP8


3月8日(土)19:00 – 20:30
トーク
ゲスト:沢山遼(美術批評家)、小宮太郎(本展アーティスト)
司会: 池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)
加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

沢山遼(美術批評家)
1982 年生まれ。美術批評。武蔵野美術大学准教授。著書に『絵画の力学』 (書肆侃侃房、2020 年)。共著に、国立新美術館編『今、絵画について考える』(水声社、2023 年)などがある。

関連イベント
池田太郎BAR at Nantoka BAR
高円寺で話題の池田BARに小宮が参戦!
日時:2/25(火)19:30-翌2:00頃まで
場所:なんとかBAR(〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目4−12)
店主:小宮太郎(本展アーティスト)、池田佳穂(インディペンデント・キュレーター

小宮太郎

絵画や写真作品をはじめ、回転するオブジェや、空間を利用したトロンプ・ルイユ(Trompe-l’œil、騙し絵)的なインスタレーション作品などを制作する。僕の制作の根底にあるのは、人と目の前にある事物との関係の […]