Art Center Ongoing

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チューイン

齋藤春佳

2026.6.17[水]_ 2026.7.5[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度、Art Center Ongoingでは、齋藤春佳(さいとうはるか)個展『チューイン』を開催いたします。
齋藤は、1988年生まれのアーティスト。これまで、絵画、映像、陶器、インスタレーションなど多様なメディアを横断しながら作品を発表。「時間は線的ではない、または存在しない。重力や物体の運動エネルギーの総体が便宜的に時間と呼ばれているだけ」というテーマを軸に据え制作を続けています。
齋藤の作風は、キャンバスや陶器の上で繰り広げられるさまざまなイメージの重なりが特徴的です。緻密に画面を読み込んでいくと、そこには植物や子ども、身体の一部や窓…といった色々なものが発見できます。これらの多くは齋藤が、日常の中で実際に目にしたものや経験した出来事から構成されています。それらが重なったり、曖昧な境界で隣り合わさったりすることで構成される画面からは、複数の時間軸を見つけることができるかもしれません。そこには、「時間は線的ではない」というテーマが現れているようにも感じられます。また、大型の絵画の作品では、鑑賞者自身が近づいたり離れたりして見ることで、知覚できるイメージが異なります。このことからは、物理的な距離の問題も発生していると言えそうです。
今回は、「距離」や「情報」が展示のキーワードになっていると齋藤は話します。映像作品〈水たまりのガム/2026〉は、今回の展示の中心となる作品で、祖母から聞いた戦後すぐの二つの体験が扱われています。当時、10歳だった齋藤の祖母は長野に住んでいました。一つ目の体験は玉音放送を聞いた時のもの。彼女は、終戦をうまく理解できなかったそうです。ただ、周りの大人たちが突っ伏して泣いていたので、真似をして同じ行動をとったのだといいます。もう一つの体験は、疎開してきていた子供の話。ある男の子が帰郷する時、彼女の前で噛んでいたガムを水たまりに吐き出したそうです。ガムを食べたことがなかった彼女は、夜、家を抜け出し、水たまりの場所へ向かい、ガムを拾い上げ口に入れたそうです。
作品では、ガムはアメリカ軍の携帯食料であったことが普及の一因というエピソードを交えながら、祖母の体験が語られますが、次第に内容は齋藤自身の話に移り変わっていきます。ここでも、齋藤自身と祖母、現在と1945年、東京と長野、日本とアメリカ、といったさまざまな時間的/物理的距離が現れています。そして、それは展示室に広がる他の陶器や絵画の多層性と共鳴していくのです。
齋藤は最近、さまざまな情報が氾濫する目まぐるしい日常の中で、どの情報の立場につくのか、その選択は周りの人々に合わせているのではないか、本当に主体的な判断なのか、といったことを思考するといいます。祖母の、大人たちがなぜ泣いているのかわからなかった、にも関わらず突っ伏して泣くという行動。一方で、ガムという未知の存在、遠くからやってきたもの、そして地面に落ちたものを、自ら口内に含み、噛むという大胆な行動。この二つの行動に「合わせているのかもしれない」しかし「それでも口に入れるように自分でさまざまなことを咀嚼したい」という重なりを見出し、展示タイトルを「チューイン」に決めたと話してくれました。
展示室内は、イメージ、音声、そして作品の中に書かれたテキストで溢れています。どのイメージや情報を受けとり咀嚼するかは、鑑賞者自身に委ねられているとも言えます。見る人によって受け取り方がそれぞれ異なることが予測されますが、そのことはまさに、齋藤が実践する時間の不確かさや、距離や情報という主題が、作品のみならず鑑賞者との間でよりはっきりと浮かび上がってくる体験と言えるでしょう。ぜひこの機会に齋藤が織りなす多次元的なイメージたちを、噛むように、自身に取り込みながら、お楽しみください。
(Art Center Ongoing 貞方梨七)

会期中イベント

6月20日(土)18:00-
オープニングパーティー
加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)


6月26日(金)19:00-
日焼け派ラジオ公開収録/齋藤春佳・松本玲子
観覧無料


6月28日(日)15:00-16:30
オンゴーイングでチューニング 
池田諒・北村盧による音楽ライブ

参加費:1,500円(入場料含む 池田焙煎コーヒー付き)

池田諒:長野県出身。1988年生まれ。
バンドやユニットを経て現在は主に弾き語りをしている。10年ほど前に東京へ来てからはオンゴーイングに足しげく通うようになる。結婚パーティーもさせていただいた。好きが高じてコーヒーを手焙煎することにハマっている。本イベントではコンセプチャルなブレンドコーヒーを2種類を用意する予定。

北村盧(M.E.C.):2023年に阿佐ヶ谷へ越してから弾き語りを中心に音楽活動を開始。現在はスリーピースポップスバンド”M.E.C.”でGt.&Vo.を担当。23年より阿佐ヶ谷mogumoguにて四川料理×音楽企画”四川ナイトクラブ”を主催し、26年8月1日(土)には第十六回目を開催予定。手書きのポスター制作なども行う。ミミズの飼育に没頭中。


7月4日(土)19:00-
トーク
ゲスト:梅津元(批評家/キュレーター)


参加費:1,000円(入場料含む 1drink付き)

梅津元(うめづげん)
1966年神奈川県生まれ。1991年多摩美術大学大学院美術研究科修了(芸術学)。モダニズム以降の芸術の可能性を探るため、美術、写真、映像、音楽に関わる執筆や企画を中心に領域横断的な活動を展開。
主な企画:「伊東篤宏 anima ex machina」工房親(恵比寿映像祭2026地域連携プログラム/2026年)、「〈うつること〉と〈見えること〉-映像表現をさぐる:60年代から現在へ」大阪市中央公会堂(ART OSAKA 2025 映像プログラム/2025年)、「樋口朋之 DUB/stance」The White(2024年)、「トランス/リアル-非実体的美術の可能性」ギャラリーαM(2016-17年)、「DE/construct: Updating Modernism-阿木譲をめぐる3つのプログラム」NADiff modern & SuperDeluxe(2014年)。
埼玉県立近代美術館学芸員(1991-2021年)としての主な企画(共同企画を含む):「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」(2019年)、「生誕100年記念 瑛九展」(2011年)、「New Vision Saitama 3-7つの眼×7つの作法」(冨井大裕を選出)、2007-2008年)「プラスチックの時代|美術とデザイン」(2000年)、「ドナルド・ジャッド 1960-1991」(1999年)、「1970年 物質と知覚-もの派と根源を問う作家たち」(1995年)、「〈うつすこと〉と〈見ること〉-意識拡大装置-」(1994年)など。
ph.kugeyasuhide


7月5日(日)15:00-
オンゴーイングスクール

参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説


※植物似顔絵
6月19日/6月26日/7月3日 会期中金曜日 12:00-18:00
あなたのムードを植物になぞらえて描きます。

齋藤春佳

1988年 長野県諏訪市生まれ。4歳から長野市で育つ。2011年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。2015年から2022年まで Ongoingキッチンでバイト。東京都拠点。日焼け派。Ongoing Collec […]