Art Center Ongoing

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!!現実になっとるやんけ!!

森下綾香

2026.4.8[水]_ 2026.4.19[日]
18:00-21:00(水木)、12:00‒21:00(金土日)(月火定休)
入場料: 400円(セレクトティー付き)

この度、Art Center Ongoingでは森下綾香個展「‼︎現実になっとるやんけ‼︎」を開催いたします。
森下は、1998年生まれのアーティスト。これまで、映像やインスタレーション、パフォーマンスを通して、自身の生活や体験と現実でおきている政治的な問題の接続を試みてきました。本展はOngoingで行われた学生公募企画「未来進行形 2023」の最優秀賞受賞以来、2度目の個展となります。
森下は今回、高市早苗政権やその後の衆議院選挙、アメリカのトランプ政権、イラン攻撃といった昨今の政治状況への批判を行いたいと話します。
展示のメインとなるのはふたつの映像作品。《架空店員さんの聞いた話》は、架空のカラオケ店員を装った森下自身によるパフォーマンスの記録映像です。パフォーマンスは、労働への語りを重ねていくうちに、次第にその内容が国家や政治への話にたどり着くというものでした。2025年9月から10月に森下が参加したグループ展の中で、彼女が定期的に行ったこのパフォーマンスの中には、「私は馬車馬のように、何時間も働いていたい」というセリフが登場します。会期末の10月、高市早苗は就任演説で、「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と発言しました。架空の店員としてパフォーマンスを行っていた森下ですが、自身の作品内の語りが、総理大臣という立場の人物から実際に発言されたことに、強い衝撃を受けたといいます。
もうひとつの映像作品《‼︎現実になっとるやんけ‼︎》は、そのパフォーマンスから発展した新作の映像作品です。本作は、白塗りを上半身に塗り重ねる森下自身の映像の逆再生、カラオケ風に表示される自作の歌詞、引き延ばされた高市早苗の演説音声の3つの要素で構成されています。高市が女性初の総理大臣となった時、森下は同じく女性として分類される自身の体が引き裂かれるように感じたそうです。どこか進歩のように聞こえる「日本初」でありながら過去に逆行しているかのような政治を行い、女性でありながら家父長制的な男性の振る舞いをする高市。そうした状況を目の当たりにした際、社会がありがたがっているのは、女性の身体的特徴である「乳房」であると森下は解釈しました。そこで、カラオケ店員の服を脱ぎ、白人を象徴する色になった乳房を伴う上半身が、逆再生によって次第に本来のアジア人的な姿に戻っていくイメージ、プロテスト的な歌詞、引き延ばされ意味を為さない音源を用い、森下は、現在の日本とアメリカの関係性、白人への憧れ、男性的な振る舞いをする女性、そして「女性」というジェンダーそのものへの問いかけを試みようとしています。
自身のパフォーマンスの経験と現実が結びついたことから展開される森下の作品は、我々の生活と、どこか遠くに感じられる政治の世界や戦争が地続きであることを強く訴えかけてきます。また、制限の強い社会において、芸術を通したストレートな政治的主張の効果はすぐには現れないでしょう。しかし、日々現実の社会情勢が悪化する中で、今回の森下の一作家としての態度はより重要性が増しているとは考えられないでしょうか。ぜひこの機会に、森下の作品を通し私たちの生活と社会との関係を再考いただければと思います。
(Art Center Ongoing 貞方梨七)

会期中イベント

4月11日(土)19:00-
オープニングパーティー
加費:1000円(入場料含む 軽食と1drink付き)


4月12日(日)19:00-
ゲストトーク
ゲスト:野中モモ
加費:1000円(入場料含む 1drink付き)

野中モモ
東京生まれ。ライター、翻訳者(英日)。著書に『デヴィッド・ボウイ 増補新版―変幻するカルト・スター』(筑摩書房)、『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』(晶文社)など。訳書にナージャ・トロコンニコワ『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』(ソウ・スウィート・パブリッシング)、デヴィッド・バーン『音楽のはたらき』(イースト・プレス)など多数。日本の芸能についての仕事(寄稿)に『エトセトラ』VOL.8 特集:アイドル、労働、リップ、『ダ・ヴィンチ』2020年2月号ハロー!プロジェクト特集、『ユリイカ』2015年4月臨時増刊号 総特集=2・5次元など。Berryz工房とアンジュルムが好き。


4月19日(日)15:00-
オンゴーイングスクール

参加費:1,000円(入場料含む お好きなケーキと1drink付き)
中高生にもわかる作家本人による展示作品解説

森下綾香

1998年 愛知出身、2024年 多摩美術大学大学院博士前期課程(修士)絵画専攻修了。現在、神奈川を拠点に活動中。軍歌や歌謡曲の歴史や社会運動をもとに、ドローイング、映像、インスタレーションなどの制作を行う。 主な個展に […]