東京・吉祥寺にあります芸術複合施設 Art Center Ongoingでは、この夏、企画展公募「未来進行形2025」を開催します。唯一の応募条件は企画者及び参加作家が全員学生であること。
個展でもグループ展でも、Art Center Ongoingを舞台とした展示企画であればどんなものでもOKです。選出された企画には制作補助資金として10万円を提供します。
下記の募集要項をお読みの上、奮ってご応募ください!
<「未来進行形2025」募集要項>
募集内容:
Art Center Ongoingを舞台とした展示企画
応募条件:
企画者及び参加作家が全員学生であること ※個展、グループ展は問いませんが、一人の応募者から複数の企画を応募することはできません。
募集期間:
2025年5月1日(木)〜2025年6月30日(月) 必着
制作補助資金:
10万円
展示期間:
2025年8月13日(水)〜8月24日(日) ※搬入期間:8月11日(月)、8月12日(火)
展示会場:
Art Center Ongoing (〒180-0002東京都武蔵野市吉祥寺東町1-8-7 ※井の頭線、吉祥寺駅北口より徒歩10分)
応募料:
無料
応募方法:
以下の応募フォームより、
応募者情報、A3サイズの展示企画書(10MB以下のPDFファイル)、過去の活動がわかる資料(10MB以下のPDFファイル)をアップロードしてください。※googleのアカウントが必要です。
応募締め切り:
2025年6月30日(月)(必着)
審査員:
今津景(アーティスト)
トモトシ(アーティスト)
松田修(アーティスト)
三田村光土里(アーティスト)
結果連絡:
2025年7月8(火)までにメールにてご連絡します。
本件に関するお問い合わせ先:
info@ongoing.jp
今津景
今回、初めていわゆる現代美術展の公募審査を担当させていただきました。 展示企画書と過去のポートフォリオを同時に眺めながら、それぞれの企画が実現されたとき、どのような展覧会空間が立ち上がるのかを想像しながら、ひとつひとつ丁寧に目を通しました。 正直なところ、展覧会というものは、その場所にインストールされ、オープンし、実際に人が出入りしてみるまで、本当のところはわからないものです。 ただ、それでもなお、その「わからなさ」を引き受けながら、企画書や言葉、レイアウトや構成案の中に潜む、作家本人が実現したいことの輪郭を、想像の手がかりとして票を入れていきました。 私が選んだ企画には、いくつかの共通点があります。 ひとつは、Ongoingという場に対する感覚的な呼応が感じられたことです。 あの場所が持つ独特の空気感 (それはどこか親密で、未完成であることに対して開かれているような雰囲気)に、直感的に相性が良いと感じられる企画に惹かれました。 これは、今私が暮らしているインドネシアでよく出会うアーティストランスペースの空気とも不思議と通じるものがあり、制度や完成度よりも、身体性や即興性を信じるような企画に自然と目が留まりました。 もうひとつは、やはり私自身が作家であることが大きく影響していると思います。 展示を通して、作家がどんな問いを抱えているのか、どんな回路で世界(それは生活拠点や環境によって常に変化するもの)と接続しようとしているのか。 そのプロセスに共鳴できる企画を選ばせてもらいました。 また、作品や展示構成が単なるアウトプットにとどまらず、思考の通路や感覚の揺らぎを含んでいるようなものに、私は強く惹かれます。
今回の選考では、非常に魅力的な活動をされているにもかかわらず、展示としての具体的な構成や空間性が、審査資料上では読み取りづらかった企画もありました。 とても惜しいことですが、「展覧会」という時間と空間への設計が、もう少し明確に示されていたらと思う提案も少なくありませんでした。 選ばれた方々はもちろん、今回選出に至らなかった方々にも、確かな熱量と視点が存在していたことをここに改めて記しておきたいと思います。 「Ongoing未来進行形2025」という場に応募し、言葉や図版を通じて自らの構想を他者に開いたという、その行為自体にすでに大きな価値があると感じています。 どうかこの公募が、作品と思考と他者とのあいだを開く小さなきっかけとなりますように。 そして、それぞれの表現がまた別の場で、別のかたちで立ち上がることを心から楽しみにしています。
トモトシ
審査は苦しかったですが、同時に、それぞれ力のこもった企画書が見られてとても楽しかったです。ありがとうございました!
39件の提案のなかから選ぶにあたり、全体の傾向を踏まえて相対的に評価する必要がありました。いくつか異なる方向性のプランがあったなかで、
・美術の枠組みを越えたジャンルと接続しようとするプラン
・オンゴーイングという場所やその歴史に批評的に言及するプラン
・仲間以外の人と協働するソーシャルプラクティス的なプラン
といった試みが、僕が想定していたよりもずっと少なかったことが印象に残りました。
特にソーシャルプラクティス的なプロジェクトは、国際的にもますます重要になっていくと思うので、(余計なお世話ながら)実践する人がもっと増えたら面白いのにと思いました。
ともかく、僕個人としては、未開拓っぽい領域に突っ込んでいくアーティストでありたいと願っています。ですので今回の審査でも、上にあげたような希少なプランに出会うと、つい嬉しくなって票を入れてしまうのでした。
三田村光土里
どの応募者も学生である前に、ひとりの若いアーティストととしての作家性を確立しつつあり、全体的なレベルの高さに感心しました。なので、活動資料にはとても優れた作品がたくさんありましたが、結果的には新作の企画に票を投じました。新作であることは応募条件ではないし、どう実現されるのか視覚化しきれない未知数の要素が多々ありますが、作家本人が自分のつくる新たな景色を観て、自身にとって未解決の何かを探り出したいと欲しているようなアーティストに心を動かされました。
一方、過去に発表した作品をアレンジするプランからは、完成した作品の魅力と当時の熱量が充分に伝わってくるだけに、オンゴーイングで再構成するときの温度差がどう埋まるのか、その必然性を見出すのが難しい部分でした。
また、オンゴーイングという実験的で得体の知れないエネルギーが集まる場所で観てみたいアーティストを選ぶには、応募者の技量や作家性の好みとは別の視点が働き、本当に迷いに迷いました。
今回選ばれなかったとしても、今後、他の場所で目にするであろう可能性が予見できるアーティストがたくさんいて、そういう才能にいち早く出会えたことがとても尊くありがたかったです。自信を持って、これからも挑戦を続けてほしいです。