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Tokyo Landscape 2020

増山士郎

2018.11.23 [金] - 2018.12.02 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

撮影:曽我高明

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11月23日(金/祝)19:00~
オープニングパーティー

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11月24日(土)19:00〜
「映画好きのアーティスト二人がうんちくを語り合う夕べ」
出演:市川平、増山士郎

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12月1日(土)19:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

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12月2日(日)19:00〜
「アーティストのサバイバル術!レジデンスや助成金をきっかけに海外脱出!」

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本展は京都にある現代美術製作所との共同主催の展覧会で、京都での展示を終え、Art Center Ongoingに場所を移しての開催となります。以下、現代美術製作所の曽我高明さんによる展覧会の紹介です。

2010年以降、北アイルランドのベルファストに拠点を置いて活動する増山士郎は、インスタレーション、パフォーマンス、映像など、多様な表現メディアを駆使しつつ、都市や人々の生活空間に介入する、ユニークなアートプロジェクトを数多く行ってきました。アイルランドと英国の民族・宗教対立による紛争が、今もくすぶる北アイルランド社会において、マイノリティである日本人として増山自身が被る問題を、ベルファストの街の巨大なジオラマや映像と共に可視化した「The Heart Rocker」(2011)や、自らのアーティスト生活の厳しい現実を、そのまま見せた「アーティスト難民」(2009)など、時としてそれらのプロジェクトには、アーティストを取り巻く同時代の政治や社会状況に対する、鋭い批判精神が見受けられます。
このたびの個展〈Tokyo Landscape 2020〉では、タイトルの通り、東京オリンピックの開催を2020年に控えた、現代日本の風景がテーマです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災と、同時に発生した福島第一原子力発電所における未曾有の事故からわずか2年半後、安倍晋三首相はIOC総会におけるオリンピック招致演説において、「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています」と語りました。しかしながら現在でもなお、日本は原子力緊急事態宣言下にあり、メルトダウンした3つの原発からは、未だ放射性物質を取り出す方法すら見出されないまま、毎日大量の汚染水が海に流され続けています。復興をテーマに掲げたオリンピックに向けた建設ラッシュが、かえって被災地の復興を遅らせる矛盾。以前なら放射線管理区域となる場所に政府が安全宣言を出し、避難住民への慰謝料の支払を打ち切って勧められる帰還政策。そうした中、オリンピックに反対する意見は無視され、原発事故を懸念する報道がタブー視される日本の状況は、それを国外から眺めていた増山の目に、極めてグロテスクな姿として映りました。
〈Tokyo Landscape 2020〉では、以上のような、東京オリンピックと原発事故をめぐる状況が露わにする日本社会の歪んだ風景を、増山らしい強烈な皮肉を込めたインスタレーションとして制作します。展示にあたっては、照明効果を用いたキネティックな作品で知られるアーティスト、市川平の協力も得ることになりました。そのほか会場では、様々な日用品をセメントで石棺化したオブジェや、2011年、東京から福島までガイガーカウンターで放射能を測りながら行った自動車旅行のドキュメント映像を展示いたします。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
(現代美術製作所 曽我高明)

増山士郎

1971年東京生まれ。2004年からドイツのベルリンに6年間住んだ。2010年からは、北アイルランドのベルファストを拠点としている。明治大学建築学科大学院修士課程修了。自分の作品は主に世界中のアーティスト・イン・レジデン […]