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鷺山啓輔

2020.08.19 [水] - 2020.08.30 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)

8月のはじまりは、ようやく梅雨もあけて、夏の光が心地よく肌をさす陽気でしたが、コロナはひどくなるばかり。厳しい状況が続く中、個展のご案内するのもどうなのかな?という疑問が頭の中を右往左往しつつ、どこまでいっても作品は人に観てもらってなんぼだなぁという原点は変わらない気がしています。実際、最後に映画館にいけたのは年始で、ギリアムの『ドン・キホーテ』。良かった。集大成。ジャームッシュのゾンビ映画は公開も延期され、観にいきたいなぁと夢想しつつ、色々と先延ばしにする日々。果たして先延ばしに出口あるのだろうか?
というわけで、今考えることのできる密を避けた個展を、予約可能な上映会として催します。加えて、会期中なんとかご来場いただけた方々とのコミット(音声)を作品に反映させつつ、会期中も新作を随時更新していくような流れを企画しております。イベントは、すべてオンラインでSagi Tamaで一緒に活動している玉塚さんをゲストにトークを配信します。今できることを、一つずつ積み上げておりますので、安全と健康にご配慮の上、ご来場いただけましたら幸いです。
(鷺山啓輔 8/1)

<会期中イベント>

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8月22日(土)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ」2020/08/22
『身体と風景:Sagi Tamaのコラボレーションワーク』
ゲスト:玉塚充(TamaPro代表/プロデューサー/ディレクター)
https://youtu.be/pBQUY-u2P5s



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8月30日(日)15:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/8/30
『Pre Ongoing School』
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーを、インターネットで配信します。
聴き手:吉﨑ゆきえ(Art Center Ongoing)
https://youtu.be/FqG4_pJg2ms

鷺山くんは物静かな男だ。Ongoingに集まる多くの輩のように、前のめりになって物申すことはほとんどない。興奮で声のボリュームが抑えられなくなっているような大人数の呑みの場に居合せた際にも、優しい笑みを浮かべながら、ときおり「やばいね」とか呟くぐらいで、基本的には少し後ろで静かに僕らを見守っている。
彼との付き合いは何気にとても長い。四半世紀前に立川の美術予備校で出会い、同じ大学の同じ学科へ同時に入学。大学を卒業後、僕は今のアートセンターの前身となる公募展のOngoingを始めるのだが、それにも鷺山くんは第一回目から第五回目まで全てに参加。考えてみれば、前史から現在に至るまで、すぐ近くでOngoingを見続けているのは彼以外にいないし、逆もまた然りである。
鷺山くんがレンズを通して向ける視線の先には、青く静かな海や、長く暗い洞窟や、深く生い茂った森が、いつも物言わずただそこに佇んでいる。それらを精巧にカメラに収め、卓越した技術で編集を加えたのち「鷺山啓輔の映像作品」は誕生する。風景を撮る作家と簡単に括ることができないのは、彼の作品を観るものがその映像の先に風景以上の何かを見出してしまうから。それもどうしてもだ。きっと鷺山くんの映像が、時に叙情的で雄弁にさえなるからだろう。
今回の短編映像の上映プログラムに入っている『GLOW IN THE  DARK』はその類の作品で、近い将来に母になるであろう女性の心情の吐露を、鷺山くんの映像が寡黙に優しく並走する。映しだされるのは、子を抱いて花火を見る母親の姿や、川沿いを自転車で走る人影、そして洞窟など。それらの映像に説明的なものは何もないのだが、一つ一つが連なり絡み合うことで、観るものの感情は強く揺さぶられる。ちなみに僕はこの作品を観るのは数回目だったけど、迂闊にもまたもや泣きそうになってしまった。
鷺山くんの作品を長くみてきて、今改めて思うのは、彼が実はとても希有な映像作家だということ。コンセプトでガチガチなわけでもないし、強烈なビジュアルインパクトを持っているわけでもない。もちろん風景を綺麗に撮るだけの作家なんかでは当然ない。なんだろうか、鷺山くんの作品はもっと静かでずっと深いのだ。それは観るものをいつの間にかそっと包み込んでいく。彼が繰り返し撮りつづけている風景、そして本人自身のまなざしと同じように。
最近はお互い忙しくなり数も減ってしまったが、一昔前までは、安居酒屋に二人でよく呑みにいった。基本的に僕がベラベラと喋り、鷺山くんは「でしょー」と相槌を打ってくれるのだが、そんな彼の佇まいがお酒を進ませ、最後は二人ともベロベロに。今回の上映プログラムの最後の新作映像を見終えたら、また久々に安酒を飲みながら静かな古き友と何かを話したくなった。毎回、何を話したかは次の日すっかり忘れているのだけどね。
小川希(Art Center Ongoing)

鷺山啓輔

映像作家http://sagiyama.com 1977年生まれ2001年武蔵野美術大学映像学科卒業2001年東京郊外拝島にてアートスペース「HOMEBASE」設立2013年アートユニット「Sagi Tama」結成 ht […]