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山下拓也 個展 「Manta ray」/ 前谷開 個展 「夜は昼、昼は夜を」

山下拓也 / 前谷開

2020.09.18 [金] - 2020.10.04 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)

<会期中イベント>

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9月30日(水)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ 2020/09/30」
トークイベント「わたしを見ること、あなたを見ること」
ゲスト:佐塚真啓(美術家/国立奥多摩美術館艦長)、前谷開 (アーティスト)
https://youtu.be/-82ihRnVb6s


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10月3日(土)19:00〜
「オンゴーイング・スタジオ 2020/10/03」
トークイベント「めちゃ好評されたい!」
ゲスト:加藤翼(アーティスト)、山下拓也 (アーティスト)
https://youtu.be/Ss9YY6BaLjM


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10月4日(日)15:00〜
「オンゴーイング・スタジオ 2020/10/4」
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーを、インターネットで配信します。
https://youtu.be/ngHZk9JT6Wk


協力:一般社団法人HAPS

2013年に始めたレジデンスプログラムOngoing AIRの一人目の作家は山下くんだった。山下くんは愛知の作家で、たしかレジデンスプログラムを始める数年前に、コーディネーターの吉田有里さんが「Ongoingに絶対あうと思う作家がいる」といって吉祥寺に連れてきてくれたのが初めての出会い。山下くんは当時からあのサラサラのマッシュルームカットで、少し緊張気味だったが目をキラキラさせ楽しそうに自身の作品について話をしてくれた。彼の代名詞とも言えるポップかつダイナミックな作風はもとより、好奇心が溢れ出ているようなその佇まいが心に残った。
それでOngoing AIRをスタートする際、真っ先に彼のことが頭に浮かび、声をかけたところ喜んで東京に来てくれ、2ヶ月間の滞在制作をしてくれた。彼はすぐにOngoing周りの作家と仲良くなり、1階のカフェで作品について熱く語る日々を過ごしていた。初めに感じた彼の好奇心はやはり凄くて「なんでこんなの作ったんですか?」「意味わかんねー」と、とてつもなく楽しそうに色んな作家を質問攻めにしたり、時には「あー、そうかもしれませんね」と超真面目な表情で少し年上の作家の話をじっと聞いたりしていた。僕の中で、山下くんといえばあのニコーッとした顔と超真面目な顔の二つの印象しかない。 そんな彼がレジデンスの最後に発表したのは、ギャラリーの床を直接彫って制作した版画の作品だった。彫られた床の版に蛍光塗料のインクが塗られ、刷り上がった数十枚の作品はギャラリーの壁を埋め尽くし、ブラックライトによってビカビカに光り輝いていた。版画の内容はといえば、彼の次にOngoingで展示を行う予定だった大木裕之さんの個展の宣伝という衝撃的なものであった。そしてなんと山下くんにとっての版画制作はこの時が初めてだったのだという。
その後の山下くんは、国内外の大規模な展覧会に呼ばれるなど快進撃を続ける。僕が企画した展示にも何度か参加してくれ、東京だけでなく、奥能登やフィリピンなどにも一緒に行ったりした。レジデンスの時もそうだったけど、山下くんはいつだって尋常じゃなく自分を追い込んで制作する。もっと凄いこと、もっと面白いこと、もっとヤバいこと。彼は自分が立っている場所に決して安住しない。追い詰められた彼の顔にはあのニコーっとした笑みは消え、超真面目な表情だけが残る。そして全てを出し切った彼の作品は、当然だけど素晴らしく、そして気づけばあの笑みが再び彼の顔に戻っているのだ。
今回の展示で山下くんは、京都の古い家屋に二週間滞在し、4畳半の部屋の床全体を彫って制作した版画作品を発表する。そこに彫られた文字は“Manta ray”。海を悠々と飛ぶように泳ぐあのマンタのことだ。会場には版画作品に加え、前谷開くんによる、版画を作り上げていく様子を記録した映像と、その合間に撮影した山下くんのスナップ写真も同時に発表されていて、そこでも、やっぱりあの二つの顔がこちらを覗いていた。
ところでなんで“Manta ray”なのかと聞いてみたら、マンタがちょうど四畳半の大きさなのだという。ニコニコしながら超真面目に話す山下くんの口からそれを聞いた時は全く意味不明だったが、この文章を夜中に書いていたら、鬼気迫った表情で自身を追い込む彼の姿が思い出され、いかなる状況であってもただ制作に没頭すること、それだけしかできない一人のアーティストの性(さが)がマンタの群れへと変化し、誰もいなくなったOngoingの空間を悠々と飛び回っている様子が頭に浮かぶのだった。
小川希(Art Center Ongoing)

山下拓也

2010 名古屋造形大学美術学科総合造形コース卒業2013 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了 主な個展2020 〈熊と多分インディアンと市長か警察官と背中、他〉 VOU GALLERY(京都)2020 […]

前谷開

1988年 愛媛県生まれ。2013年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科表現専攻修了。自身の行為を変換し、確認するための方法として主に写真を使った作品制作を行う。2017年 写真を扱うアーティストグループ「Homesic […]