Art Center Ongoing

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祈りのフォーム

山本篤

2020.01.04 [土] - 2020.01.19 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

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1月4日(土)19:00~
新年会という名のオープニング・パーティー

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1月11日(土)20:00~
誠実な暖房とあたたかい時計① 「鉄」

1月18日(土)20:00~
誠実な暖房とあたたかい時計② 「兆」

1月19日(日)20:00~
誠実な暖房とあたたかい時計③ 「札」

展示作家が提案する「寒い夜の、ある親密な時間」。
何が行われるかは参加してのお楽しみです。
是非ご参加ください。

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1月12日(日)15:00~
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。

これまで味わったことのない良質の交響曲を体験したかのような余韻。感動でしばらく席を立てなくなるそんな類のもの。それが山本くんの最新作を見終えての素直な感想である。
新年一発目のOngoingでの個展を彼に頼むようになってこれが何度目になるだろう。山本くんは多作で知られる映像作家で、これまでに、数多くの作品を生み出してきた。年間数十本は当たり前。ただその昔は、玉石混淆、良い作品もあれば、なんなのこれ? といったものも少なくなかった記憶がある。ここ数年は山本くんにも変化があってか、長編に取り組むことも多くなった。ある程度尺のある一本の映像を見せてくれ、中には感動で涙する作品もあったり。今後は美術館や映画館などの上映イベントなどに参加する、所謂映像作家としてやっていくものだと思っていた。
だから今回の個展もそうした流れを汲むものかと思いきや、山本くんは軽やかに裏切ってくれた。Ongoingの急な階段を上がると、そこには無数の短編映像で構成されたインスタレーション空間が広がっていた。あれが良くて、あれはイマイチだったとか、昔のように見終わった後に勝手な感想を言えるのかなと、なんだか少し嬉しくもあったのだが、順々に見進めていくとこれまで知っていた山本作品と様子が違う。なんだろう、この感覚。
アフリカ、ベトナム、日本。撮影された国や場所、そして登場する人も異なれば、内容もてんでバラバラ。具体的な映像もあれば抽象的なものもあり、共通するなんらかのコンセプトが見えてくるわけでもない。でもなぜだか、全ての映像がどこかで関わりを持っている気がしてならないのだ。一つ一つが数珠のように繋がることで大きな世界観が描き出されていく。そして、その感覚は誰に習ったわけでもないのだが、既知のもののようにも思えた。それは、なんの関係もないはずのものが、どこかでどうしてだか繋がってしまう、この世界に存在する偶然という名の必然性だ。
国、地域、時間、物、色、歌、自然、社会、家族。私たちの生を取り巻く様々な事象は、一見バラバラなように見えながら、何処かで、かすかに、そしてやはり確実に交わり合っているのかもしれない。山本くんの新作は、金色、反復、新車、ラグビー、そしてエルビスと、全くもって繋がらないはずの映像のオーケストラを駆使しながら、この世界を形成する複雑で解けるわけのない巨大な謎に果敢に挑戦し、その結果、人知を超えた何かを導き出すことに成功していた。その何かを言語化するのは不可能かもしれないけど、傑作と言われるすべての芸術作品が有するものであることは間違いない。稀代の天才映像作家による2020年宇宙の旅がここに生まれた。
小川希(Art Center Ongoing) 

Atsushi Yamamoto

Born 1980, in Tokyo, Japan. BFA Painting, Tama Art University. Live and works in Tokyo, Japan. An ambitious ma […]