永畑智大
1983年生まれ。2010年 武蔵野美術大学彫刻学科卒業 彫刻・まんが・国立奥多摩美術館の3本柱で制作。個展 2020年「こまわり大陸からの、かたどり記念日」/Art Center Ongoingグループ展2021年「V […]
2020.06.03 [水] - 2020.06.14 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)
<会期中イベント>
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6月3日(水)19:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/03
『じゃぽにかの自粛警察24時 〜オレたち本気とかいてマジで本気出してないだけ?!〜』
ゲスト:じゃぽにか
https://youtu.be/lcGeikfFp0g
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6月6日(土)17:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/06
『おくたま式箱庭療法 〜吉祥寺から遠く離れて〜』
ゲスト:佐塚 真啓(絵描き)、和田昌宏(アーティスト)、山本篤(映像作家)、酒井貴史(アマビエ)
https://youtu.be/nv9DAAKNhJo
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6月13日(土)19:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/13
『彫刻から遠く離れて』出版記念トークイベント
ゲスト:青木野枝 袴田京太朗 冨井大裕 二藤建人
https://youtu.be/zbDPgb9qGug
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6月14日(日)15:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/06/014
『Pre Ongoing School』
https://youtu.be/v6i9k9LOw5o
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーをインターネットで配信します。
ともちゃんこと、永畑智大は基本的にヘラヘラしている。「最近どうしてるの?」と尋ねれば、「まあ、適当に」とニコニコしながらいつもそんな言葉を返してくる。切羽詰まった展示やイベントの前であっても「大丈夫そう?」ときけば、「そうですねー、まあなんとか」と口元に笑みを浮かべながら余裕な感じ。実際のところ、いつもなんとかなるので、彼と仕事をする時、僕はこれまで不安を覚えたことはない。 この安心感は、ともちゃんが小柄ながらもガッチリした筋肉質で、高校時代の柔道の経験(たしか)が作用しているのではちょっとだけ思ったりもするが、とにかく頼れる男であって周りの信頼も厚い。アート界の猛者たちが集う奥多摩美術館や、アート界の嫌悪感を一身に集めるじゃぽにかといった、くせのあるアーティスト集団とも行動を共にし、決して前面には出てこないが彼の存在があってこそ、この二つの狂気のグループは崩壊もせずに生き生きと活動を続けていけるのだと僕は密かに確信している。 あり得ない状態を何とかかんとかまとめ上げる、それはひとえに、ともちゃんがもつ天性のバランス感覚のたまものである。そのことは彼の作品を見たらきっと誰でもがわかるはずだ。遅くなったが、ともちゃんは彫刻家であり、漫画家である。言葉だけを聞けば決して馴染まないはずの二つの職業が、いいあんばいで混じり合い、永畑智大をそして彼の作品を作り上げている。その手から生み出される彫刻はカッチリとした形式をもたず、グニャグニャひん曲がったり、ドロドロと溶けているかのよう。漫画の方も同じく、キャラクターのデッサンはグニャグニャ、ストーリー展開も縦横無尽で予想をはるかに超えていく。でも最終的には彫刻も漫画も、ともちゃんのバランス感覚によってまるっと成り立ってしまうから不思議だ。 10年ぐらい昔、当時僕が企画したグループ展において、たまたま足を運んでいた有名キュレーターと批評家が、ともちゃんの作品をみて「アンデパンダンのような全てを破壊してしまうような作風に今の若い作家は憧れるんだね」としたり顔で話していたのだが、その時「あー、このおじさんたちはなんにもわかってないなぁ」と、強く思ったのを今でも思い出す。実際、ともちゃんは、美術史だったり、社会的・政治的なキーワードだったりを作品の中に用いることもあるけれど、それは参照や隠喩といった現代アートにありがちなイヤラシイそれとは全く違い、すべては単なる素材でしか無いのである。ともちゃんは、尊いメッセージをスマートに忍ばせるかわりに、全ての素材をグニャグニャと混ぜ合わせ、変形させ、ありえないバランスで、しかし誰もが納得する形でシレッと差し出す。 Art Center Ongoingは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令をうけ、2ヶ月間の休業を余儀なくされていたが、スペース再開の第一発目が永畑智大であるのは、偶然とは思えないなにかを感じてしまう。感染症の問題、社会や政治の問題、そして表現の問題を、全てグニャグニャにし、ドロドロと混ぜ合わしたりしながら、最後は「まあ、なんとかできました」と、ともちゃんならきっとまた完璧なバランスで提示してくれるはずだから。そしてここから、全然ワケがわからないけど、ものすっごく面白い、現在進行形の芸術の日々が再び始まっていく。 小川希(Art Center Ongoing)
1983年生まれ。2010年 武蔵野美術大学彫刻学科卒業 彫刻・まんが・国立奥多摩美術館の3本柱で制作。個展 2020年「こまわり大陸からの、かたどり記念日」/Art Center Ongoingグループ展2021年「V […]