Art Center Ongoing

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HISTORY

2002年から2006年の5年間にわたって『Ongoing』という名の展覧会が毎年1回、東京や横浜を舞台に開催されていました。『Ongoing』は文字通り「現在進行形」を志向する企画展覧会で、新しいアートのあり方を模索する1970年代生まれの人々が集って同世代の表現者を公募、参加者全員で作品をプレゼン/評価し合い、出展作家を選出するというシステムを基軸にしていました。それは、既存の価値やシステムに拠らずに、同時代にどんな表現が生まれているのか、その面白さとはなにかを考え、浮き彫りにして社会と共有せんとする実験的な試みでした。

『Ongoing』には様々な意識を持った幅広い層の表現者が参加し、数百人の独自のアーティストネットワークを築き上げてゆくに至りました。そしてその歩みは同時に、現代の表現にまつわるあらゆる考察と発見の時間でもあり、閉鎖的な美術業界のあり方や、表現をいとも簡単に消費してしまう強力な消費社会に対する問題意識の高まりが、Art Center Ongoing設立の大きな動機へとつながってゆきました。

2008年1月26日、日常の延長線上で、受動的な消費としてではなく能動的な摂取として、気鋭の表現作品やそのテーマとふれあう機会を提供するゆたかなスペースとなることを目指し、Art Center Ongoingは東京吉祥寺にオープンしました。当初の世代枠をなくし、いまの時代を担う必見アーティストを紹介するべく2週間に1度のペースで展覧会を開催。週末には様々なイベントを行うなど、途切れることなくその活動を展開していきます。

2011年には、個人のアートスペースでは珍しい入場料制度を導入。ギャラリーの「入場無料」という慣習に疑問を投げかけると同時に、より明確な「責任」を持ったアートを発信し、社会へもっと歩み寄って行きたいという思いからの決断でした。入場料の収益はスペース維持に充てると同時に、一部を展示作家へと還元しながら、現在もこの制度は継続されています。

2013年にはアーティスト・イン・レジデンスプログラム「Ongoing AIR」をスタート。国内外から、アーティストやキュレーターを招聘しています。「Ongoing AIR」の参加者は2カ月間、Ongoingのレジデンス施設に滞在し、リサーチや制作を行い、その成果発表となる展覧会をOngoingのギャラリーにて開催します。また、受け入れだけでなく、海外のアートスペースとのエクスチェンジプログラムも定期的に手がけ、これまでに多くの日本人作家を海外へと派遣してきました。

2016年には、ディレクターの小川が、Japan Foundationのアジア・フェローシップを得て、3ヶ月間をかけ東南アジア9カ国83ヶ所のアートスペースの活動をリサーチしました。これによりArt Center Ongoingは、東南アジア諸国のアーティストやアートスペース、そしてアートコレクティブとの新たなネットワークを構築することになります。またこの東南アジアでの経験がOngoing Collectiveの結成へとつながっていきます。Ongoing Collectiveは、全48名のArt Center Ongoingに縁のあるアーティスト、キュレーター、コーディネーターで構成され、国内外の展覧会、アートプロジェクト、シンポジウム、レジデンスやイベント等に積極的に参加しています。

2018年、設立から10周年を迎え、それまでの活動をまとめた「Art Center Ongoing 2008-2018」を発行。現在は売れ切れにつき現物は手に入りませんが、本ホームページにて多くのコンテンツをご覧いただけます。 2021年3月からは、ディレクターの小川が、文化庁の新進芸術家海外研修制度によりオーストリアへ1年間滞在しています。Art Center Ongoingは13年目にして初めての長期休館となりますが、2021年の春、小川が帰国後に活動を再開する予定です。インディペンデントのアートセンターとして、更なるステージを目指し現在進行形の挑戦を続けるArt Center Ongoingの活動に、ぜひご期待ください。