Art Center Ongoing

SEARCH EXHIBITION & ARTISTS

when デスクトップ・ドキュメンタリー when

鈴木光

2020.07.01 [水] - 2020.07.12 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(お菓子付き)

「今回の展示は、今回のコロナ騒動を受けて、4月半ばから始まったブエノスアイレスに住むアルゼンチンの編集マンとのプロジェクト。
本当は、昨年から制作していた横浜中華街の周りで撮影した映像作品を出品しようとしていました。そして本来なら、4月にタイに行くことを予定していて、チケットも取っていたし、それのために、仕事も全部中止していたのでした。予定通りに人生は行かないものかもしれないけれど、今回は、人に会ってはいけないという制約がついていて、今まで体験したことがないようなハードルが立ちふさがっています。」

ビデオターについて:
1:自分の質問を相手に送る
2:約3週間後にビデオレターが届いた
3:自分の返信ビデオレターを約2週間間後に送った
4:それで終わりかと思っていたのだが、その返信が約1ヶ月後に来た。
それが、2020年6月27日(土)。
5:次は自分が返信する番です。

このOngoingの展示中に作品を作りビデオレターの返信をするつもりです。
期限は、7月6日(月)の予定。
この正にongoingプロジェクトをご覧頂ければと思います。

「タイトル:「When~デスクトップ・ドキュメンタリー~When」 「展覧会概要」:

映像作家ジョナス・メカスと映画監督ホセ・ルイス・ゲリンのビデオレターを参照して、今回の展示は、現在のコロナ禍のグローバルな社会におけるドキュメンタリーとフィクション・表現・アートということを前提に制作されました。フランカ・マルファティは、アルゼンチンのブエノスアイレスで映画やドラマの編集マンとして、活動しています。その彼女と、私鈴木光は、今回、地球の裏側に住む作家同士として、ルイスとジョナスのようにビデオレターの交換を行いました。その記録がここArt Center Ongoingで上映・展示されます。 今回の企画は、ハンブルク芸術大学ドキュメンタリーコースの講師である映画作家Nele Wohlatzの企画・サポートのもとに実現した正に奇跡的なprojectです。私は、ドイツと2012年に滞在してからこれまで計約8年の関わりを持っていますが、その前に実は、中南米のハバナに滞在したのでした。そこから考えると私のヨーロッパ編のタームを終えて、これから中南米=ラテンアメリカ編へと移っていく移行期なのではないかと考えています。是非この分岐点にある「点」としての展覧会に来て頂きたいと願っております。」
鈴木光

© Franca Malfatti
©?Franca Malfatti
© Hikaru Suzuki
© Hikaru Suzuki

<会期中イベント>

■■■
7月4日(土)19:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/07/04
『西澤 諭志(写真家・映像作家)× 鈴木光(映像作家・アーティスト)』
https://youtu.be/2EocJBaDsNU

これまであんまり時間がなくて話して来なかったお互いのことについて少しづつじっくり語り合う会。

西澤諭志(にしざわ さとし)
プロフィール
写真家/映像作家 1983年長野県うまれ カメラで記録した身辺の映像から、細部の社会的、経済的な側面へも目を向ける為の作品を発表。 主な展覧会に「西澤諭志展―写真/絶景 そこにあるもの―」(LIXIL Gallery2、2009)、「Parrhesia #013 西澤諭志[普通]ふれあい・復興・発揚」(TAPギャラリー、2018) 主な上映会に「西澤諭志特集:ドキュメンタリーのハードコア」(UPLINK、2017)


■■■
7月11日(土)19:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/07/11
『奥間 勝也(テレビディレクター・映像作家)× 鈴木光(映像作家・アーティスト)』
https://youtu.be/Pr9ExBj8970

テレビやドキュメンタリーを作っている視点・映画・アート・表現について、そして、メディアやコロナ禍の映像制作・映画・現在の自分の活動についてじっくり話をする会

奥間 勝也(おくま かつや)
1984年生まれ。沖縄県出身。琉球大学修士課程修了後に東京のテレビ・映画製作会社に参加するため上京。 沖縄を舞台に制作した中編映画『ギフト』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2011、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭(スイス)など国内外で上映。インドで制作した『ラダック それぞれの物語』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2015で奨励賞。 2015年に演出した、原爆映画に関するドキュメンタリー『いま甦る幻の映画「ひろしま」~受け継がれていく映画人の想い~』はATP最優秀新人賞を受賞した。長編第一作となるドキュメンタリー『骨を掘る男』(仮)を制作中。


■■■
6月12日(日)15:00~
「オンゴーイング・スタジオ」2020/07/12
『Pre Ongoing School』
https://youtu.be/H9Wbj1pW-Uk

作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャーをインターネットで配信します。

鈴木光の登場は鮮烈だった。バイクで颯爽と訪れるなり「僕にここで個展をやらせてください」と落ち着きはらって話しかけてきたのだ。それはOngoingがスタートして間もない時期だったと思うから、もう12年も前のこと。はじめて見る顔で、当然のことながら彼の作品を知らないし、さらにはポートフォリオを見せてくるわけでもない。ただその青年は自分は当たり前のことを話しているといった様子で、妙な自信に満ちあふれている。こんな恐れ知らずのバカがいるのだなと思った記憶がある。
当然のことながら、見ず知らずの若者の個展をいきなり開催するはずもなく、それでも光はそれ以降ちょくちょく顔を出すようになった。なんだこいつとはじめは思ったが、不思議と彼を嫌いにはならなかった。表裏がない、良くも悪くもそのまっすぐな性格が物珍しくもあったし、どこか信頼がもてたからだ。
光は、まだ学生を終えたばかりだったけれど、少し年上の僕に対しても物怖じせず、ビールを飲みながら自分が好きな作品の話からプライベートなことまでいろいろな話をしてくれた。それから徐々にイベントやグループ展などにも声をかけるようになっていく。彫刻科出身の彼だったが、はじめのうちはパフォーマンスなども手がけていたが、だんだんと映像表現に特化していくようになった。
しばらくして光は東京を離れ、岐阜の大学院に通ったのち、大きな奨学金をとってドイツに留学することになる。ただその間も東京に来る際はOngoingに顔を出してくれ、僕の方でも上映イベントで声をかけ作品を発表してもらったりしていた。だから、頻繁に会うことはなくなっても、彼の活動を身近には感じていたのだった。
光の作る映像は、ドキュメンタリーの手法をとり、彼の出会った人々や彼が見た現実を切り取っていく。作中で彼自身の姿や声を使うことも多いので、作家本人の存在を強く感じるのだが、なにより対象に向けるその真摯な眼差しが印象に残る。世界と自分をいつも等身大でまっすぐに見つめ続ける。なんというか、光はいつもクソ真面目なのだ。だからだろうか、僕は彼の感覚を、そして彼自身を信頼している。
初めての出会いから随分と時間が経ったけれど、漸く鈴木光の個展がここOngoingで実現する。発表するのは現在進行形でアルゼンチンの映像作家と交わすビデオレータの作品と、ドイツ留学前にキューバで撮影された作品の二つ。久しぶりに彼の新作を見たけれど、どちらも変わらず光のあの真摯な視線がしっかりと映りこんでいて、なんだか嬉しくなった。そうそう、ひとつ言い忘れたが、新たに取り組もうとしていることについて話す時の彼の表情が僕はすごく気に入っている。その際、光は視線を遠くに向け少しだけ笑みを浮かべながら眩しそうな目をするのだ。僕が思うに、その視線の先には彼が向かうべきものがボンヤリと映っているのだろうと思う。この間久しぶりにOngoingで飲んだ際、今回発表する新作そして来年から滞在するアルゼンチンについて話してくれた時も、いつものあの表情をしていた。そして12年前のあの直訴の時も、その青年が同じ顔をしていたことを今ふと思い出した。
小川希(Art Center Ongoing)

鈴木光

1984年福島県生まれ。ベルリン芸術大学映像コース卒業。近年の映像上映&展覧会に、「Experimental film culture vol.3」(2021)(ポレポレ坐)、「Experimental film cul […]