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耳たぶのかさぶた

中崎透

2018.06.13 [水] - 2018.06.24 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

撮影:柳場大/YANAGIBA Masaru

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6月13日(水)18:00~
オープニングパーティー

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6月16日(土)19:00~
最近の制作のこととか vol.01
山岸清之進 x 中崎透

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6月17日(日)19:00~
最近の制作のこととか vol.02
冨井大裕 x 中崎透

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6月24日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

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6月24日(日)19:00~
最近の制作のこととか vol.03
小嶋亮平 x 中崎透

中崎透(なかざきとおる)は1976年茨城県生まれ。2007年に武蔵野美術大学博士課程満期単位取得退学後、 茨城県水戸市を拠点に、各地で多数の展覧会やプロジェクトに参加するなど精力的な活動を続けているアーティストです。
中崎は大学在学中から《看板屋なかざき》という作品シリーズで知られるようになります。このシリーズはこれまで全国の芸術祭やプロジェクトで展開されていますが、その土地やプロジェクトで出会った人びとから発注され、中崎が制作する看板は一貫してどこか洗練されていない、独特のキッチュさが見受けられます。
まず「看板の作家」として知られた中崎ですが、パフォーマンス、映像、インスタレーションなどこれまであらゆる手法での発表をしてきています。また、個人での活動に加えて2006年には山城大督氏、野田智子氏とアーティストユニット「Nadegata Instant Party」を結成、2007年から茨城県水戸市にオルタナティブスペース「遊戯室(中崎透+遠藤水城)」を設立。さらに、2011年からは大友良英氏らを中心とした有志による「プロジェクトFUKUSHIMA!」に参加、主に「福島大風呂敷」などの美術部門のディレクションを担当するなど、多様なスタイルでの活動を展開していることも特筆すべき点です。
中崎の作品には、言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレというテーマが貫かれています。《看板屋なかざき》では、看板を受注生産するという仮の契約に基づいた発注者と受注者の認識のズレが、看板という形で可視化されます。また、2014年に国際芸術センター青森、2017年に札幌国際芸術祭で行われた展示「シュプールを追いかけて」では、それぞれ青森、札幌におけるスキーの歴史を展覧会にするという設定のもとに市民とのリサーチやワークショップを実施、参加者各々の視点が実際の展示で可視化されました。
人と人とが関わり共通認識を持って一つの目標に向かう場を設定し、ドラマを巻き起こしつつ、そこで生じる複層性やズレは保持したまま作品として提示するという彼の手法は、「Nadegata Instant Party」での活動展開にも通底するところがあると言えます。
今回の展示では展示タイトルでもある「耳たぶのかさぶた」というごく個人的で些細な身体の違和感、異物を発端として、テクストを軸に映像やドローイング、オブジェによってOngoingに中崎の作品空間が展開されます。「この場所に関して言えば、予算はないけど好きなことをやってくれと、他にはなかなかない自由のある場所なのだ」「そうなるとどういう結果になるかと言えば、作品と、自分自身の内面と真摯に向き合うことになるわけである」と本人が言うように、日頃様々な環境で制作発表を行う中崎だからこそ、ここでは改めてフラットに思索を重ねた空間が広がっているでしょう。
Ongoingでは2015年4月以来3年ぶり4回目の展示となります。ぜひこの機会に、一人でも多くの方に中崎作品の世界を 体験していただきたく思います。
(平田陽子)

中﨑透

1976年茨城県生まれ。美術家。武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程満期単位取得退学。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに自然体でゆるやかな手法を使って、看板をモ […]