Art Center Ongoing

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Dark Luck

Deirdre McKenna

2015.12.16 [水] - 2015.12.20 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

以下ディアドラが本展によせた文章です

なんてことないメモ

彼女は午前5時に電気をつける。
ベランダを掃除しながら、私はもう一本たばこを吸う。
いまだにガイガーカウンターの電池は入れていない。知りたくないから。
4日前、となりの家の桃の木から最後に残った2つの実が落ちて、私のバランスも良くなる。
うら寂しい婦人服店に入ってみる。
小さなたばこ屋の女性と話す。お互いの交わす言葉は「こんにちは」と「ありがとう」しかわからない。長い間おしゃべりすると、彼女は何かを書き記し、私は地図を描く。彼女はカレンダーを指す。
終電を待つ列に並ぶ女性は体を揺らしながら、押しつぶされる準備をしている。
風はまるで、二羽のカラスが追いかけあって私の頭の側を通り過ぎていくみたい。
高層ビルの喫煙所で男性陣に交じる。ここは高くて、空気が薄い。
行く先々の道路で、カーブミラーに映る折れ曲がった自分の姿を見る。
湯たんぽは、恋人代わり。
スカイプの向こうで猫たちはお尻をなめている。
お皿を洗いながら、どこにやったかわからない鍵を探す彼を見ている。
彼は午前1時に電気を消す。

Minor Notations

She turns the light on at 5am.
Cleaning the balcony, as I smoke another cigarette.
I still haven’t put the batteries in the geiger counter, I don’t want to know.
The last two peaches on my neighbor’s tree dropped to the ground 4 days ago,
My balance is getting better too.
Lonesome women shop, I join them.
I talk to the lady in a tiny cigarette shop, neither understanding a word the other speaks beyond “hello and “thank you”. We talk for a long time, she writes things down, I draw a map. She points at the calendar.
The woman in the queue for the train is swaying and shivering, in readiness for the compression of bodies on the last train.
I feel the wind as two crows chase each other past my head.
I join the men in the smoking area of a skyscraper. We are so high up with so little air.
I see my bent reflection in every street mirror.
My hot water bottle is a substitute for my lover.
Cats lick their bottoms on Skype.
I wash the dishes and watch him as he try’s to find where the key goes.
He turns the light off at 1am.

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12月16日 (水)
19:00~
オープニングパーティー

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12月20日 (日)
19:00~
ディアドラのOngoing AIR 滞在報告会

Ongoing AIR(オンゴーイング・アーティスト・イン・レジデンス)第15弾、
北アイルランドからやってきたディアドラことDeirdre McKenna。ディアドラが見た日本、東京、そしてオンゴーイングはどんなものだったのか。
お別れパーティーをかねた報告会を開催します。

ゲストに、この夏北アイルランドにディアドラとの交換レジデンスに行っていた永畑智大さんも来てくれます。永畑さんの北アイルランドでのお話も合わせて、ぜひ皆様、お気軽にご参加ください。

Dark Luck is an exhibition by Irish artist Deirdre McKenna at Art Center Ongoing, Kichijoi, Tokyo.
Ongoing has hosted a number of artists in Tokyo as part of a residency exchange with Flax Art Studios, Belfast. The exchange offers artists the opportunity to work in a new city for a period of up to two months.

Supported by:

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Deirdre McKenna(ディアドラ・マッケナ)は1973年アイルランドのダブリン生まれ。北アイルランドのベルファスト在住。2007年にアルスター大学ファインアート修士過程をきわめて優秀な成績で修了。数多くの展覧会に参加し、北アイルランドのアーツカウンシルに作品が所蔵されるなど国内外で高い評価を得てきました。またベルファストのCatalyst Arts Galleryではディレクターとしての経験も持ち、その活動は多岐にわたります。今回、Ongoing AIRの相互派遣プログラムのもと、ベルファストにあるアーティストランスペース/Flax Art Studioからやってきました。
マッケナは彫刻、インスタレーション、電子装置、音声、絵画など、様々なメディアを組み合わせて作品を制作します。私的な記憶や体験を物語として可視化する彼女の作品は、自伝的な側面を持ちながらもユニークかつ多重の視点を織り込むことで、時間や場所に縛られない独自の世界観を生み出します。
「Dark Luck」と題された本展のメインビジュアルであるボートに乗るロマンティックな男女の写真は、滞在場所に程近い井の頭公園に伝わる「ボートに乗った恋人たちは破局する」というジンクスから発想を得たといいます。揺れるボートの上でうつむく男女がどのような運命をたどるのか、実際には誰にもわかりません。しかし、そこには人々によってつくられた想像(ジンクス)と現実が同時に存在する矛盾とともに、想像と現実というものの実にあやふやな境界が映し出されています。
今回、彼女が展示に寄せた日記の断片のような短い文章では、彼と彼女、早朝と深夜、地図とカレンダー、落下するものと上昇するもの等々、一見相反するエレメントや感覚がひとつの空間に重なり合っています。その対応関係は単純ではなく、男性と女性が社会において期待されている役割やその違和感を静かに提起しているかのようでもあります。
遠く離れた土地からやってきた一人の女性作家が切り取った水面やカーブミラーに映った似姿に、こちらに生きる私たちは何を見るのでしょうか。見慣れたはずの風景が異なる時空に移植され、多くの問いかけがなされるディアドラ・マッケナの成果発表展。ぜひこの機会に多くの方々にご覧いただければと思います。
(滝澤幸子)

Deirdre McKenna

BiographyDeirdre McKenna, born. Dublin Ireland 1973, is based in Belfast, N.Ireland. McKenna’s practice incorp […]