Art Center Ongoing

SEARCH EXHIBITION & ARTISTS

立体 2

井出賢嗣

2018.02.09 [金] - 2018.02.18 [日]
12:00-21:00 ※会期中は13日のみclose 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

今回の作品は昨年の香港滞在にて見たナイトマーケットから想起されて作られる板状の作品です。
香港のナイトマーケットとは、夜22時過ぎから非合法で開かれている蚤の市のことです。
そこでは様々な品質のものが道路上に置かれ、言い値で売り買いされています。
路上に並んだ物たちは、LEDの微かな光の中で夜の僅かな時間その存在を再び取り戻します。

井出賢嗣

■■■
2月10日(土)19:00~
オープニングパーティー

■■■
2月17日(土)18:00~21:00(予定)
NAZOLAZ presents
『ナゾラーに至る世界転覆にまつわる作戦会議もしくは合いの手、
 青い薔薇の触れ合い的な感じのイベント4』
 with 千葉正也, 南川史門, 花代, 清水将吾

■■■
2月18日(日)15:00〜
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー。お好きなケーキとお飲物がついてきます。

井出くんとの付き合いは、僕が吉祥寺にスペースを構える前、プロジェクト時代のOngoingまで遡るから、もう随分と長くなったものだ。僕よりいくつか年下だけど、その登場はかなり生意気な感じで(今でもだけど)、でもどこか他人とは思えない人懐っこい感じもあり、すぐに仲良くなったのだった。その性格もあってか、当時から彼の周りには常に人が沢山いて、一人でいるのを見た記憶がないくらい。それは今も変わらず、彼が中心的な役割を担って展開している相模原のアーティストコミニティーSUPER OPEN STUDIOの活動にも繋がっているのだろうし、Ongoingの東南アジアとのパイプも、もともとは彼が切り開いてくれたのであった。
そんな老若男女、国内外を問わず皆に愛されるムードメーカーKenji IDEだが、その作品を初めてみたときに抱いた印象は、彼のそのオープンな性格からは想像しづらいものであった。当時の井出くんは、ベニヤ板をメイン素材として、心象風景を描いたような立体作品を作っていた。それぞれのパーツには、細かな装飾や淡い着色が施され、とても繊細な表現でその作品は出来上がっていた。描かれている風景は、プライベートな思い出や記憶が元になっていて、みんなの中心でベラベラしゃべっている井出くんとは、また違った顔が垣間見えるのだった。作品という人のいない世界の中で、少し寂しそうにぽつんとたたずむ井出くんである。
井出くんはそれからしばらくして映像やパフォーマンスなんかも手がけるようになっていく。ただ、メディアは変わっても彼の繊細な表現の世界観は変わることはなかった。個人的な体験が下敷きとなって導き出される映像やパフォーマンス。ともすれば私小説のようなプライベートの露呈のように見えてしまいかねないのだけど、ただそうしたものと一線を画すのは、繊細で丁寧な作りから導き出される井出作品の強度だった。高度なクオリティーが担保された極めてプライベートな表現。そこに僕はいつも強いオリジナリティーを感じ続けてきた。
そしてここ数年の井出くんであるが、原点回帰じゃないけれど、今再び立体作品に正面から向かい合っているようだ。今回のOngoingの展示も立体オンリー。下敷きとなっているのは香港の滞在で彼がみたナイトマーケットだという。暗い空間の中、微かな光の元、繊細につくられた立体作品を隅々まで見ていく。その過程の中、ふとした瞬間に、普段見ることの難しい、あの一人ポツンとたたずむ井出くんの寂しげな横顔が見えるのではないかと思うと僕は楽しみで仕方ないのだった。
小川希(Art Center Ongoing)
No image

井出賢嗣

1981年横須賀生まれ、個人、恋愛、生活をテーマに立体インスターレションで表現をする。近年は物事の裏側にある人間臭い不安定な情緒、センチメンタルな物語を事実、フィクションをない交ぜに制作した立体物とプロセスを示す映像とを […]