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daily composition デイリーコンポジション

冨井大裕

2014.08.20 [水] - 2014.09.07 [日]
12:00-21:00 定休:月、火 入場料:¥400(セレクト・ティー付き)

出品作品について
今回展示するのは、近年続けている「今日の彫刻」と「ゴミ写真」のふたつのシリーズである。どちらも日常の風景を写真に収めているが、都市で生まれ続ける「野生の彫刻」を写真で記録した作品だと考えている。近年、彫刻についての反応を求められる機会が増え、それに答え続けた結果、ただでさえぼやけていた彫刻のイメージが更にぼやけるという事態が生じた。元々ぼやけていたのだから「まぁいいかな」とも思ったのだが、折角なので、ぼやけながらもかろうじて映る「彫刻」を記録してみようと思ったことが始めた動機であった。なんとなく始めてなんとなく続けている。はじまりは彫刻との関わりだが、目的は彫刻に限らない(ぼやけているのだから決められない)。人がものをつくってしまうということ。このことを考える為の行為として私の制作はある。(冨井大裕)


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8月23日 (土) 19:00~
オープニングパーティー
「出品作も食べることができます」

オープニングパーティについて
2012年の個展のオープニングパーティでは、参加者の皆さんに料理を素材として作品を制作して貰いました。この時の狙いは、料理を食べている時に我々は何をつくっているのかを考えることでした。今回は、料理をつくる/つくってもらっている時に、我々は何をイメージしているのかを考えたいと思います。Ongoingの調理を担当している愛美さんに、私が制作したマケットとドローイングの写真を送り、オープニングパーティには、それらを元にした愛美さん作の料理が登場します。どのような料理が出てくるかは不明。オープニングパーティ限定です。(冨井大裕)


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8月24日 (日) 15:00~
Pre Ongoing School
作家本人による展示作品の解説を交えてのレクチャー
お好きなケーキとお飲物がついてきます


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9月6日 (土) 19:00~
トークイベント
「アンソニー・カロ再論ーテーブルピースからテーブルトークへー」
ゲスト:林卓行(美術批評、玉川大学芸術学部芸術教育学科准教授)/ 福居伸宏(アーティスト、写真家)

トークイベントについて
近年、彫刻という言葉が都合よく使われているように感じる。絵画と違い、明瞭かつ具体的なフォーマット(絵画における矩形や平面性)のない彫刻だが、それ故か言葉の響きは格別である(それ故に使われる?)。「彫刻ってなんでしょう」わからないのに使われ続けるこの理不尽な状況に私もとうとう加担してしまったのか。大事なことは、過去の遺産にもたれかかることではなく、現在を基準に過去と未来を見渡して、遺産を自由自在に合体変形、縦横無尽に連れ回し、徹底的に使いつぶすことではないだろうか。そんなことを考えて、昨年亡くなったイギリスの彫刻家アンソニー・カロについてのトークイベントを企画した。といっても、専門性に特化したレクチャーや議論の場ではない(そういう重要な機会はこれまでもあったし、これからもあるだろう)。カロの作品に惹かれている立体作家が、同様に惹かれているであろう批評家と興味がありそうな写真家をお招きして、彫刻の専門性や作家性からは外れた、言わば見たままの作品について語り合うトーク。ビールを飲みながら、ガチな議論とは違った言葉の応酬から、彫刻だけではない、他分野への彫刻言語の有効性を語り合う。優れた造形言語はその出自の専門性を超えた汎用性と有効性を持ち得ることを示す為のカジュアルな試み。アンソニー・カロはその為の理想的で強力な素材であり、彫刻はこの試みの為の呼び水である。(冨井大裕)

ゲスト略歴
林 卓行
美術批評・近現代美術研究・美術理論。1969 年東京生まれ。1997 年東京藝術大学美術研究科博士後期課程を在学満期により退学。2014年より玉川大学芸術学部芸術教育学科准教授。著書に『ウォーホル(西洋絵画の巨匠⑨)』(小学館、2006年)。最近の共著に『芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I』(京都造形芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎、2013年)および『田中功起「質問する その1(2009-2013)」』(ARTiT、2013年)。ほか美術批評の執筆、シンポジウム、トーク・イヴェントの参加等多数。

福居伸宏
1972年、徳島県鳴門市生まれ。主な個展に「B’」 (Parzelle403, バーゼル, 2013年)、「undercurrent」(TKG エディションズ京都, 京都, 2011年)、「Asterism」(小山登美夫ギャラリー, 東京, 2010年)、「There There」(Joachim Gallery, ベルリン, 2006年)、グループ展に「Concrete – Photography and Architecture」(Fotomuseum Winterthur, ヴィンタートゥール, 2013年)、「No Man’s Land」(フランス大使館, 東京, 2008年)、「東京画」(TWS渋谷, 東京, 2007年)など。現在、写真ワークショップ「291 workshop」を主宰。
http://www.nobuhiro-fukui.com/
https://www.facebook.com/291ws

協力:ユミコチバアソシエイツ

Art Center Ongoingでは2年ぶり3回目となる冨井大裕の個展『daily composition デイリーコンポジション』。本展では、冨井が自ら撮り続け、ネット上で発表している「今日の彫刻」と「ゴミ写真」のシリーズが展開。道に落ちている新聞や木の葉、置き去りにされた庭先の道具、そして路地の片隅に捏ねられたゴミ袋。あまりに当たり前すぎて、普段は気に留めることのない日常生活のワンシーン。本シリーズにおいて冨井は、「モノ」を組み合わせたり何らかの手を加えるのではなく、街の路地や片隅に潜む「野生の彫刻」を見いだし、それを記録し、なんの脚色をつけずに提示。私たちが、あるものを「作品」だと認識するのはどうしてなのか。あるいはそうではないと感じるのならばそれはなぜか。日常世界と作品世界との狭間を行ったり来たりするその揺さぶりの中で、ラディカルな問いを冨井は静かに語りかける。1階では、当時のOngoing Cafeのシェフであった奥谷愛美とコラボレーションし、オープニングパーティーと連動した食べられる彫刻も登場した。
小川希(Art Center Ongoing)

冨井大裕

1973年新潟県生まれ、東京都在住。既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として、「彫刻」のあらたな可能性を模索する。また、2008年よりアーカススタジオにて、作品が […]